2018年12月23日日曜日

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(6)

被告は、公序良俗違反という主張に対して、下記のように反論をしています。

・墓や仏壇を護っていくという観点からも重要な土地の一体的、保有、管理を実現し、将来の世代への不動産の承継を可能なものにすることができる
・相続対策の観点から一体的な不動産管理を実現できる
・管理者として最も適任な被告が受託者として選任されたものである
・受益者連続型信託は、信託法が正面から認めたものであり、公序良俗に反しない

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(5)

東京地裁判決解説シリーズに戻ります。
信託が有効である場合の遺留分減殺請求の対象について、信託設定行為ではなく、受益権が対象となることの理由付けについては、非常にシンプルです。

2018年12月21日金曜日

共有者の一部を受託者とする信託

東京地裁判決解説シリーズの最中ですが、本日はお休み。
法務省から信託登記に関して通達が出ました。

2018年12月15日土曜日

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(4)

前回の記事では、原告が主位的請求と予備的請求のいくつかを立てていることを述べました。
それぞれの原告の請求に対する、裁判所の判断は下記の通りです。

2018年12月13日木曜日

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(3)

前回の続きです。

原告は、主位的請求の他に、主位的請求が認められなかった時のために、いくつかの予備的な請求もしています。

2018年12月12日水曜日

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(2)

前回の続きです。
被相続人が、被告(二男)を受託者として締結した信託契約の要旨は、下記のとおりです。
なお、下記の中で「〇〇」は、被相続人のことです。


2018年12月11日火曜日

東京地裁平成30年9月12日判決要旨(1)

被相続人が死亡した。
法定相続人は原告(長男)、被告(二男)、二女の3人である。
 

2018年10月8日月曜日

特定委託者(みなし受益者)その2

前回の記事では、最近、受託者が特定委託者として扱われて贈与税が課されるのではないか?という議論について、「平成19年度税制改正の解説」をもとに、気にする必要はないと述べました。
本日は、さらに掘り下げていきます。

2018年10月7日日曜日

特定委託者(みなし受益者)

兵庫県司法書士会での研修講師が終わり、帰り道です。
信託に通暁した先生からも、「ブログを参考にしています」と言われることが多くなってきて、更新をさぼってはいけないな…と思っております。

2018年9月27日木曜日

信託が相続争いを激化させるリスク

本日は、民事信託について、ちょっとマイナスの側面を。
よく、巷では「民事信託を使えば相続争いはなくなる!」という謳い文句の本を見かけますね。
しかし、場合によっては、民事信託は遺言よりも相続争いを激化させる側面があることに注意が必要です。


2018年9月16日日曜日

信託と遺留分(東京地裁平成30年9月12日判決)

昨日、一般社団法人民事信託推進センター主催のセミナーに参加してきまして、そこで中央大学の新井先生が、東京地裁平成30年9月12日判決について言及されていました。
判決の詳細は、まだ分からないのですが…

当初受益者が死亡して、第2受益者が受益権を取得した際に、遺留分減殺請求権が行使された事案のようです。
結論としては、委託者から受託者への所有権移転登記の抹消と、信託登記の抹消が命じられた、とのことです。
(それ以上は、判決を読んでいないので分かりませんが…)

現在の民法の考え方では、遺留分減殺請求権が行使されると、被相続人の遺産は遺留分権者と受遺者との間で物権的共有となります。

信託と遺留分については、「信託財産説」と「受益権説」という古典的な対立があります。
「信託財産説」によれば、遺留分減殺請求の行使の相手方は、受託者であるということになります。
そして、遺留分減殺請求権を行使することで、信託財産が、受託者と遺留分権者との間で物権的共有になる、という考え方をとります。
つまり、受託者に移転したはずの信託財産が共有になるわけですから、信託設定自体を破壊する力を持ちます。

一方、「受益権説」によれば、遺留分減殺請求の行使の相手方は、受益者であるということになります。
そして、遺留分減殺請求権を行使することで、受益権が、受益者と遺留分権者との間で準共有になる、という考え方をとります。
この考え方ですと、受託者に移転した信託財産は共有になりませんので、信託は破壊されません。
つまり、遺産を巡る争いは、受益権を巡る争いに、形を変えることになります。

「信託財産説」と「受益権説」は、どちらも一長一短であることから、当ブログでは遺留分への言及を避けていました。

東京地裁は、信託による所有権移転登記及び信託の登記の抹消を命じた、ということですから、信託財産説の立場に立ったのではないかと思われます(まだ読んでないけど)。
いったん、被相続人から流出した信託財産を、被相続人の名義に戻すことで、遺留分減殺請求の行使をやりやすくした、という側面があるのでしょう。

一方、信託を設定した立場からすると、信託財産説に立った場合、せっかく設定した信託が、遺留分減殺請求によって破壊されるわけです。
こうなると、信託が破壊された後の後始末がどうなるのか?
大変多くの論点が生まれてくると思います。

例えば…
受託者から不動産を買った第三者や抵当権を設定した第三者は保護されるのか?
仮に保護されるとして、登記が第三者の保護の要件になるのか?
取引関係に入ったタイミングや登記のタイミングが、被相続人の生存中、死亡後、遺留分減殺請求の意思表示後など異なってくる場合、保護されるかどうかが変わってくるのか?

受託者が信託財産責任負担債務を負った場合、その債務は受託者が個人的に負うものになるのか?
信託登記が抹消された結果、信託財産が被相続人の遺産であるかのように扱われるのは仕方ないとしても、受託者が借り入れた債務まで、被相続人の遺産であるかのように扱うのは筋が通らない気がします。
そうすると、受託者のもとには債務だけが残るのか?
とてもかわいそうな結果になります。
債務だけ負う受託者もかわいそうですし、信託財産を責任財産として考えていた債権者もかわいそうです。

では、遺留分の評価は?(税務評価ではない)
信託財産が被相続人の名義に戻るのに、信託財産責任負担債務は受託者が負う、という結果になれば、遺留分の評価から信託財産責任負担債務を控除できない結果になるのではないか?
積極財産だけ評価して、消極財産は評価できないという事態が発生する?

相続法改正の影響は?
まだ未施行の民法改正ですが、遺留分減殺請求権は、物権的共有をもたらすのではなく、金銭債権となります。
物権的共有をもたらすのであれば、設定された信託を破壊する意味はあろう、と思いますが、金銭債権であれば、わざわざ信託を破壊する必要性は乏しいと思います。

一度設定された信託が否定されることの意味は大きく、法的安定性を損なうことになります。
受託者から不動産を買ったり、抵当権を設定したり、受託者への貸付を行った後に、その法律効果が後から否定されるということが万一にも起きるとしたら、受託者と取引に入る第三者としては、大いに警戒しなければなりません。

まだ判決を読んでいない段階ですので、いろいろ勝手に書いているにすぎませんが、現状では、遺留分に配慮しない信託の設定はかなり危険かもしれない、と思います。
特に第三者との頻繁な取引が予定される場合には…

判決を読んだら、またコメントします。


平成30年9月17日追記
信託財産説ではなく、受益権説に立った判決だというコメントをいただきました。
そのうえで、遺留分潜脱の目的で公序良俗違反無効、とのことです。
また、収益を上げた財産については無効にしない、というものだったと。
そうすると、上記の考察は必ずしも当てはまらないのですが、検討がすべて無駄であるとは思えないので、残しておきます。

2018年7月4日水曜日

受託者が死亡して新受託者が就任した場合の登記

司法書士の谷口毅です。
昨日は、鳥取県の成年後見の利用促進を担う色々な機関が集まっての会議。
来週も、鳥取家庭裁判所が主催する利用促進に関する会議があります。
鳥取県内、少しずつ前向きな動きが出てきている感じがありますね。


2018年6月16日土曜日

信託財産に属する不動産の売却の登記

司法書士の谷口毅です。
名古屋の韓国料理屋さんから投稿しています。これから、リーガルサポートの本部定時総会。長い一日になりそうですが、頑張ります。


2018年6月15日金曜日

信託における不動産所得の損益通算

司法書士の谷口毅です。
事務所の依頼が少し落ち着いているので、ゆっくりと仕事をしています。
今は、小規模個人再生の書類作成、事業者の破産の書類作成などをしています。
あとは、日司連の委員会の仕事やら、リーガルサポートの支部長の仕事やらをいくつか。

明日は、名古屋で、リーガルサポートの本部総会に参加してきます。

2018年6月12日火曜日

信託期間中の所得税

司法書士の谷口毅です。
6月9日の土曜日は、関西学院大学に出向いて、信託法学会を聴講してきました。
道垣内弘人先生、沖野眞巳先生、神田秀樹先生、能見善久先生、新井誠先生など、普段は書籍だけでしか名前を拝見できない先生の議論を間近で拝聴できて、とても勉強になりました。
(実際は、僕の大学生時代に教わっていたのかもしれませんが、記憶が…)
来年は司法書士業界、30人くらいで信託法学会に参加したいなぁ…と思ったり…

今週末はリーガルサポートの定時総会で名古屋に出向きます。
少し出張が続くのですが、平日にしっかり睡眠をとって、疲れを残さないように頑張ります。

2018年5月22日火曜日

受益者代理人と受益者自身の権限

司法書士の谷口毅です。
昨日と今日は、施設や病院を巡って、被後見人さんたちと面談。
あとは、企業の契約書に目を通したり、雑誌の校正などをしていました。
基本的に、のんびりとした一日でした。


2018年5月19日土曜日

受益債権に関する受託者の裁量

司法書士の谷口毅です。
水曜日には、東京で民事信託推進センターの実務入門講座の講師をして、翌日は鳥取で経済団体の例会。
そして今日は、鳥取県司法書士会・政治連盟・リーガルサポートの定時総会でした。
私はリーガルサポートの支部長として前に立たせていただきました。
イベント続きではありますが、無事に終了してほっとしました。


2018年5月15日火曜日

受益債権と信託債権の優劣

司法書士の谷口毅です。
今日は、鳥取県立図書館で、司法書士会主催の無料相談の相談員をしていました。
貸金、遺言、相続放棄など、様々な相談を受けました。
明日は、東京で民事信託推進センターの実務講座の講師をする予定です。


2018年5月13日日曜日

信託期間中の財産の変動

司法書士の谷口毅です。
GWも終わりました。私は、妻とシドニーで楽しく過ごすことができました。
食事もおいしく、とてもいいところでした。
戻ってきてからは、不動産登記や会社の役員変更、小規模の事業者の破産などを手がけています。
少し仕事が落ち着いていて、のんびりした気持ちですね。

2018年4月29日日曜日

残余財産受益者と帰属権利者 その2

GWが始まりました。
すっかり更新が鈍くなってしまったこのブログですが、地道に、時間がある時に続けて生きます。
とりあえず100記事を目指しているのは変わりませんので…


2018年3月25日日曜日

信託と成年後見制度の調和を図る②

司法書士の谷口毅です。
土日があっという間に過ぎてしまいます…
休日らしい休日を過ごせたので、とても充実しているのですが、頭の片隅に「あれもやらないと、これもやらないと…」が離れない状態と言うのは、なんだか良くないですね。


2018年3月23日金曜日

帰属権利者等への所有権移転時期

司法書士の谷口毅です。
今週もいろいろありました。日司連の委員として法務省を訪問させていただいて、信託登記について打ち合わせをしたり…
今月は、信託の公正証書作成についても、色々と打ち合わせを重ねています。


2018年3月10日土曜日

実家信託について その2

司法書士の谷口毅です。
3月も中旬に入り、不動産登記・商業登記・後見・訴訟・破産・信託など、色々とやることが増えてきました。
地方の司法書士として、できるだけ業務範囲を幅広く持ち、自分のできることを着実にやっていこうと思います。


2018年3月3日土曜日

実家信託について その1

司法書士の谷口毅です。
久しぶりに、のんびりできる土日の貴重さを味わっています。
溜まっている仕事を進めたり、事務所の片づけをしたり、ちょっと昼寝したり買い物したり、壊れた家電の修理に持っていったり。
しばらく休みなしに動き回っていたので、とてもいい気持ちです。


2018年3月2日金曜日

信託の清算手続

司法書士の谷口毅です。
昨日は、東京で河合保弘先生の隠居パーティに出席させていただいていました。
何より、改めて企画力と人脈の広さに驚かされた、感じです。
久しぶりに会う方も多く、楽しませていただきました。


2018年2月28日水曜日

残余財産受益者と帰属権利者

司法書士の谷口毅です。前回の更新が1月16日ですので、約1ヶ月半、間が空いてしまいました。
しばらくの間、ちょっと忙しくて、ブログだけではなく、ピアノからもマラソンからも遠ざかってしまっていました。
少しずつ落ち着くといいなぁ、と思っているところですが…
できれば、ブログを書くくらいの時間はほしいものです。


2018年1月16日火曜日

受託者変更時の税務

司法書士の谷口毅です。
ここのところ、会務であっちの県に行ったりこっちの市に行ったりしていたので、少し移動疲れ気味です。
とりあえず、明日から落ち着いて、訴状作成、調停申立書作成、債権執行申立書作成、相続放棄申述書作成、成年後見関係の諸交渉、信託契約書作成などを進めていきたいと思います。
さらに、将来の公益信託法改正に関連してちょっと勉強して作業しなくてはいけなくなったり…

う~ん、頑張ります。

2018年1月10日水曜日

信託継続中の贈与税・相続税・譲渡所得税

司法書士の谷口毅です。
今日は、作りかけの訴状に少し手直しをして、病院に被後見人さんにお会いしに行きました。あと、新規に調停申立書作成の依頼や、会社設立の依頼をお受けしたりしておりました。夜は多士業連携の成年後見センターが主催する、市民後見人のサポート会合に参加して、ただいま帰ってきてのんびりしているところです。

なぜだか、この2ヶ月ほど、不動産登記のご依頼が絶賛減少中なのです。ご依頼お待ちしております!


2018年1月4日木曜日

信託開始時の贈与税・譲渡所得税

みなさま、明けましておめでとうございます。
本日は仕事始め。そして、37歳の誕生日でもあります。
本年も頑張りますので、よろしくお願いします。