2018年3月23日金曜日

帰属権利者等への所有権移転時期

司法書士の谷口毅です。
今週もいろいろありました。日司連の委員として法務省を訪問させていただいて、信託登記について打ち合わせをしたり…
今月は、信託の公正証書作成についても、色々と打ち合わせを重ねています。




さて、本日も楽しく民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
本日は、分からないことだらけの、信託の出口論の話です。
私もまだ考え中のことばかりです。

まず、信託の終了事由が発生すると、清算手続が開始するというのは、こちらの記事で述べました。
信託の清算手続
このような清算手続の中で、残余財産は、帰属権利者等に給付されるのですね。

ここで、実は、とても単純なようでありながら、奥深い問題があります。
それは、清算受託者から帰属権利者等に対し、いつ、所有権が移転するのか?ということです。
実は、これ、「分かりません!」というのが現状の回答かと思います。

これ、旧法時代から争いがあったものの、解釈が定まらないため、敢えて新信託法の立法過程でも明確化しなかったという経緯があります。
いや、明確化しろよ…立法者なんだから仕事しろ…と突っ込みを入れたくなりますが、仕方ありませんね。

現状では、3パターンくらいの考え方が存在しています。
①信託の終了事由発生と同時に、当然に帰属権利者等に所有権が移転する
②信託の清算手続の中で、清算受託者と帰属権利者が合意することで、所有権が移転する
③清算受託者による清算事務処理を了することで所有権が移転する

①の考え方をとるのが、知財高裁平成24年判決、大阪高裁平成13年判決の立場です。
②の考え方は、横山亘「信託に関する登記」で触れられていますし、旧法下では有力でした。
③の考え方は、道垣内弘人などが書いています。

あ、どの考え方をとるにしても、残余財産が不特定物である場合は、特定が必要なのは当然として。

なんというか…
偉い学者さんたちが分からないと言っているくらいなので、僕なんかに分かるはずもないんですよね…
ということで、この辺をどう扱うのか、いまだに苦心しています。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門職からの有料相談、共同受任、契約書チェック、研修会講師などもお受けしております。

それでは今日は、この辺で。
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