2018年6月12日火曜日

信託期間中の所得税

司法書士の谷口毅です。
6月9日の土曜日は、関西学院大学に出向いて、信託法学会を聴講してきました。
道垣内弘人先生、沖野眞巳先生、神田秀樹先生、能見善久先生、新井誠先生など、普段は書籍だけでしか名前を拝見できない先生の議論を間近で拝聴できて、とても勉強になりました。
(実際は、僕の大学生時代に教わっていたのかもしれませんが、記憶が…)
来年は司法書士業界、30人くらいで信託法学会に参加したいなぁ…と思ったり…

今週末はリーガルサポートの定時総会で名古屋に出向きます。
少し出張が続くのですが、平日にしっかり睡眠をとって、疲れを残さないように頑張ります。


さて、ようやく80記事目。今日も楽しく民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
今日は、信託期間中の所得税の話。

信託期間中、受託者が収益を得た場合、誰が所得税を申告するのでしょうか。
それは、受益者ですね。
根拠は何かというと、所得税法13条です。

所得税法13条
信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、この法律の規定を適用する。

この条文の前半には、
「受益者は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし」とあります。

ここで書かれているのは、「法律上の所有者」と「税務上の所有者」を分離するということです。
法律上、信託財産に属する資産は受託者が所有し、負債は受託者が負います。
しかし、税務上は、受益者が有するものとみなしている。
つまり、「法律上の所有者は受託者であるが、税務上の所有者は受益者と考える」ということですね。

さらに、この条文の後半には、
「当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして」とあります。

これも、「法律上の収益を得る者」と、「税務上の収益を得る者」を分離するということです。
法律上、賃貸物件を受託者に信託した場合、借り手は受託者に賃料を払います。
また、株式を信託した場合、会社は受託者に配当金を払います。
従って、法律上の収益は受託者が得るのです。
しかし、税務上は、受益者が得たものとみなし、受益者が申告して税金を払います。

仮に、収益のすべてが受託者の手元にとどめ置かれ、受益者の手元に1円のお金も入ってきていない場合でも、結論は変わりません。
また、受託者が法人であったとしても、受益者が個人であれば、法人税ではなく所得税を申告することになります。

このように、受託者を無視して受益者のみに課税していくことから、信託の税制はパススルー課税といわれますね。

あ、受益者がいない場合や、受益証券発行信託の場合は除きます。この記事は、受益者がいる場合のみを考えています。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門職との共同受任、契約書チェック、有料相談、研修会の講師などもお受けしております。
それでは今日は、この辺で。

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