2018年1月16日火曜日

受託者変更時の税務

司法書士の谷口毅です。
ここのところ、会務であっちの県に行ったりこっちの市に行ったりしていたので、少し移動疲れ気味です。
とりあえず、明日から落ち着いて、訴状作成、調停申立書作成、債権執行申立書作成、相続放棄申述書作成、成年後見関係の諸交渉、信託契約書作成などを進めていきたいと思います。
さらに、将来の公益信託法改正に関連してちょっと勉強して作業しなくてはいけなくなったり…

う~ん、頑張ります。


さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
今日は、信託継続中の税務の話の続きです。

信託継続中に、受益権が移転すると、それは、信託財産が移転したのと同様であると考えて、税金がかかる、というのは前回の記事で説明しました。

対価なしで受益権が移転すると、新受益者に贈与税。
対価ありで受益権が移転すると、旧受益者に譲渡所得税。
死亡を基因として受益権が移転すると、新受益者に相続税。

という感じでしたね。
また、受益権の評価は、その信託財産の現物の評価とまったく同じである、と考えればよいです。

では、受託者が変更した場合はどうか?
死亡、辞任、解任、後見開始審判などで受託者の任務が終了し、新受託者が就任した場合を考えます。
新受託者は、信託法75条に規定されている通り、旧受託者の権利義務の一切を承継しますね。

そうすると、旧受託者から新受託者に対して、信託財産の所有権移転が起こります。
この場合の税務はどうなるのでしょうか?

結論から言うと、課税関係は生じない、ということになります。
法律上の信託財産の所有者は、受託者です。しかし、税務上は、受託者ではなく、受益者が所有しているとみなすのですね。
従って、法律上の所有権が移転しても、税務上は所有権が移転していない、と考えるのです。

相続税、譲渡所得税、贈与税、すべてゼロです。
さらに言えば、旧受託者から新受託者に所有権移転をする際の登録免許税もゼロですし、不動産取得税もゼロ。

法律上の所有者と、税務上の所有者を分けて考える、というのが、信託の仕組みの面白いところですね。

それでは今日は、この辺で。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門職からの有料相談、共同受任、契約書チェック、研修会の講師などもお受けしております。

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