2018年1月4日木曜日

信託開始時の贈与税・譲渡所得税

みなさま、明けましておめでとうございます。
本日は仕事始め。そして、37歳の誕生日でもあります。
本年も頑張りますので、よろしくお願いします。


さて、今日は税金の話の続き。
前回は、受益者が課税されるのは、受託者から給付を受ける時ではなく、受益権を取得した時だ、という話をしました。
今日は、信託が開始する時について考えてみます。
信託が開始する時には、委託者から受託者に所有権が移転します。
通常の場合、無償で所有権を取得した場合には、贈与税が課税されるのですが、信託の場合は、受託者は自らの利益のために所有権を取得しているわけではないので、贈与税は課税されません。
利益を得るのは受益者ですので、受益者に課税されることになるのですね。
つまり、信託は、法律上の所有権と、税務上の所有者を分離する仕組みである、ということができると思います。

これを、相続税法9条の2第1項が規定しています。
相続税法9条の2第1項
信託の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

つまり、委託者と受益者が別の場合(他益信託)は、信託が開始した瞬間に、受益者が贈与によって信託財産を取得したものとみなして、贈与税が課税されます。
ただ、委託者と受益者が同一の場合(自益信託)は、信託の開始の前後を通じて、資産の移動がないものと考えますので、課税されません。

では、他益信託の場合で、受益者になった者が、委託者に対して対価を支払った場合はどうでしょうか?
相続税法9条の2の条文を見直していただくと、「適正な対価を負担せずに」という要件が書いてありますね。
つまり、無償で受益者になった者には贈与税が課税されますが、受益者が対価を委託者に支払った場合には、贈与税は課税されない、ということになります。
その代わりに、委託者から受益者に信託財産を売買したのと同じように、委託者に譲渡所得税が課税されるのですね。

ということで、信託開始時の課税関係についてみてみました。
それでは今日は、この辺で。
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