GWも終わりました。私は、妻とシドニーで楽しく過ごすことができました。
食事もおいしく、とてもいいところでした。
戻ってきてからは、不動産登記や会社の役員変更、小規模の事業者の破産などを手がけています。
少し仕事が落ち着いていて、のんびりした気持ちですね。
さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
今日は信託の期中の財産の変動について。
信託の効力が発生すると、終了するまではかなりの長期に及びます。
もちろん、1年も経たずに終了する信託もありますが、数十年と続く信託も多くあります。
そうすると、当初の財産から変動が起きることが通例です。
すると、どの範囲までが信託財産に属する財産になるのかが問題になります。
これを規定しているのが、信託法16条です。
この条文は、「信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産」は、信託財産に属するものと定めています。
「管理」「処分」「滅失」「損傷」「その他の事由」とは、具体的にどういうことでしょうか。
「管理」とは、例えば金銭信託を管理していたら、預金利息を得た。この預金利息も信託財産に属するのだ、ということです。
他にも、不動産の賃料収入などが挙げられると思います。
「処分」の代表的なものは、売却や交換によって得た財産のことですね。
不動産を売却すると、その代金は信託財産に属するものになります。
「滅失」「損傷」は、例えば保険金請求権が分かりやすいと思います。
信託財産に属する家が燃えたら、受託者は、火災保険金請求権という債権を取得します。
この債権が、信託財産に属するのです。
そして、受託者は信託事務の一環として、火災保険金を受領し、その保険金を信託財産に属する財産として管理します。
財産の形が、「家⇒保険金請求債権⇒金銭」と形を変えていっても、ずっと信託財産に属するものになるのですね。
他にも、誰かがガラスを割ってしまった。この場合、不法行為に基づく損害賠償請求権が信託財産に属する債権となります。
そして、受託者が信託事務の一環として、加害者に対し、損害賠償の請求をするのです。
その後、受け取った賠償金も信託財産に属するものになります。
財産の形が、「ガラス⇒損害賠償請求債権⇒金銭」と変化していきますね。
「その他の事由」とは、例えば、信託財産に属する不動産について、自治体が収用を行い、その補償金が入金されてきたとか、株式の配当金が入金されてきたとか、そういうものだと思います。
(配当金は、「管理」と考えてもいいかもしれませんが…)
当初の信託財産が生み出した資産や、形を変えた資産については、全て信託財産に属するものになり、受託者が管理を続けるのだ、と考えればよいと思います。
それでは今日は、この辺で。
当事務所では、一般の方からの相談のみならず、契約書チェック、共同受任、研修会の講師などもお受けしております。
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