2018年3月25日日曜日

信託と成年後見制度の調和を図る②

司法書士の谷口毅です。
土日があっという間に過ぎてしまいます…
休日らしい休日を過ごせたので、とても充実しているのですが、頭の片隅に「あれもやらないと、これもやらないと…」が離れない状態と言うのは、なんだか良くないですね。




さて、今日は、ふと思いついたこと、くらいな記事です。
成年後見と民事信託を必要に応じて併用しよう、ということは、時々言われると思います。
しかし、実際に併用している例はあまり多くはないと思いますし、具体的な実務の流れをイメージできている方はあまりいないと思います。

で、もしも実際に併用したらどうなるのか。
僕も実例にあたったことがないので、あくまで想像です。

親を委託者兼受益者、子を受託者として、すでに信託が設定されている。
その状態で、親に成年後見人が付された。
この時、成年後見人として、何をすべきか?ということになりますね。
成年後見人は、委託者兼受益者の法定代理人として、その権限を代わって行使することになります。

信託されてる財産が金銭なのか、自宅なのか、賃貸アパートなのか、自社株式なのかによっても、微妙に、成年後見人としての職務が異なってくるのでしょう。

ただ、共通しているのは、
「信託契約書を入手して熟読する」
「信託の目的を把握する」
「信託財産の現状を把握する」
「受託者が信託の目的に沿って執務をしているかを確認する」
「定期的に受託者に報告を求める」
「重要な財産を受託者が処分しようとしているときは、事前に相談するように促す」
「受託者が権限違反行為をしようとしている時は、止める」
「受託者の善管注意義務違反があって、信託財産に損害が発生していたら、損失の填補を求める」
などということになるのでしょうね。

その上で、賃貸アパートであれば、収益と費用の明細を把握し、アパートローンの返済状況を確認する。
定期的な金銭の給付を目的とする信託であれば、ちゃんと給付するよう促す。
自宅であれば、ちゃんと固定資産税を払っているか、管理されているか確認する
などということが、成年後見人の職務になるのだと思います。

私たち専門家は、今まで、信託契約書の作成技術をメインに研鑽を積んでいて、信託の期中事務や出口論にスポットを当てている方は、あまり多くありませんでした。
渋谷陽一郎先生が、この点について憂慮されていらっしゃいます。

しかし、成年後見との併存、ということを考えていくと、私達は、受託者としての期中事務や、信託継続中の委託者・受益者の権限、出口論ということを真剣に考えないといけない、ということが分かります。

いや、ま、えらそうに言っても、さっき思いついただけのことなので、別に僕も大したことを考えているわけではないんですけどね。
今後、重要なテーマになりそうな気がしたので、備忘録として書いておきます。

当事務所では、一般の方からの相談だけではなく、専門職との共同受任や契約書チェック、研修会講師等もお受けしております。

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