2018年4月29日日曜日

残余財産受益者と帰属権利者 その2

GWが始まりました。
すっかり更新が鈍くなってしまったこのブログですが、地道に、時間がある時に続けて生きます。
とりあえず100記事を目指しているのは変わりませんので…




さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
残余財産受益者と帰属権利者の違いについては、以前に記事にしたことがあります。
前回のブログ記事は、こちらですので、読んでみて下さい。
残余財産受益者と帰属権利者
今日は、この論点をもうちょっと掘り下げてみます。

信託の終了事由によって、残余財産が誰に帰属するのかを変えたい、というような場合がありますよね。
例えば、
不動産の売却によって信託が終了したらAさんに残余財産を与えたい。
合意によって信託が終了したらBさんに残余財産を与えたい。
というような場合です。

このような場合には、残余財産受益者として定めるべきか、それとも、帰属権利者として定めるべきか?
私見では、このような場合は、帰属権利者であると考えます。

なぜならば、残余財産受益者とは、受益者の一種ですから、信託の開始から一貫して、受託者の監督や信託に関する意思決定の権利などを持っています。
そうすると、信託が開始した時から、誰が残余財産受益者なのか、確定している必要がありますね。
また、残余財産受益者が信託継続中に死亡した場合、その保有する受益権は相続の対象にもなるわけです。

残余財産受益者は、信託の開始の時点からずっと受益権を持っているので、信託の終了事由という後発的な事情によって、Aさんが残余財産受益者になったり、Bさんが残余財産受益者になったりするということは、そもそもありえない、ということになります。

帰属権利者であれば、信託の終了事由が発生するまでは、何の権限もありません。
信託が終了して、清算手続に入って、はじめて受益者とみなされるわけですから、終了事由によって、Aさんが帰属権利者になったり、Bさんが帰属権利者になったりする、ということは、問題なくできると思います。

そのような意味もあり、私は、ほとんどの契約書で、残余財産受益者ではなく帰属権利者を使うようにしています。
ただ、信託継続中に帰属権利者が死亡した場合、その地位は相続の対象になるのか?という論点については、よく分からないというのが正直なところです。

ま、本記事の内容は、あくまで私見ではありますが…

それでは今日は、この辺で。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門家からの有料相談、共同受任、契約書チェック、研修講師なども引き受けています。

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