2018年5月22日火曜日

受益者代理人と受益者自身の権限

司法書士の谷口毅です。
昨日と今日は、施設や病院を巡って、被後見人さんたちと面談。
あとは、企業の契約書に目を通したり、雑誌の校正などをしていました。
基本的に、のんびりとした一日でした。




今日は、受益者代理人について。
まだ、民事信託がそれほど普及していなかった頃は、受益者代理人よりも信託監督人の活用を書く本が多かったように思いますが、最近では、受益者代理人を活用している事例をよく見かけます。
私も、受益者代理人は、実務上、よく使います。

信託監督人と受益者代理人の権限の違いは、過去にまとめています。
信託監督人と受益者代理人

受益者代理人を置いた場合に注意をしないといけないことがあります。
通常の民法上の代理でしたら、代理人を置いたからといって、本人の権限が剥奪されることはありません。
しかし、信託法上、受益者代理人を置いた場合、受益者当人のほとんどの権利がなくなってしまいます。

それが、信託法139条4項にも示されていますね。
「受益者代理人があるときは、当該受益者代理人に代理される受益者は、第九十二条各号に掲げる権利及び信託行為において定めた権利を除き、その権利を行使することができない。」となっています。

92条各号に定められた権利とは受託者の監督や、受益者自身の権利の保護に関する権利です。この権利は、受益者代理人がついても、受益者自身が持ち続けます。
一方、それ以外の意思決定に関する権利等については、受益者代理人が権利を行使し、受益者自身は権利を行使できません。

従って、この点について、信託行為の定め方は色々と悩むことになります。
それでは今日は、この辺で。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門職からの有料相談、契約書チェック、共同受任、研修会の講師などもお受けしております。


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