2017年4月30日日曜日

訴訟目的信託の禁止とは

司法書士の谷口毅です。
ゴールデンウィーク前半に入りました。当事務所も、一応5月1日と2日は開けていますが、事務員は休ませて、のんびりと仕事をします。
後見の関係で遠方の金融機関に行くとか、雑誌の原稿の修正をするとか、そういう作業に時間を充てたいと思っています。



さて、前回の記事の続き。

前回の記事は、こちらですね。

民事信託と訴訟

信託をすると、信託財産に属する財産についての訴訟や示談交渉などは、受託者が行うことになります。そうすると、悪用の危険性もありますね。

例えば、長年にわたって消費者金融業者と取引をしていたAさんに、多額の過払金が発生した場合を考えます。しかし、Aさんは、独力で業者に対して過払金の返還請求をする自信がありません。そこで、過払金返還請求権を、裁判に詳しい知人のBさんに信託して、Bさんに過払金返還請求訴訟を提起してもらう、などということが考えられます。過払金返還請求権も、財産権の一種ですので、信託をすること自体は可能ですね。

これは、弁護士法の潜脱であると考えることができます。本来であれば、過払金返還請求を業として扱えるのは、弁護士(弁護士法人)や、権限に制限はありますが、認定司法書士(司法書士法人)だけであるはずです。信託という手法を使うことで、抜け道ができてしまうのですね。

これを禁止するのが、訴訟目的信託の禁止規定です(信託法10条)。訴訟行為が主たる目的である場合、信託は無効になってしまいます。これは、訴訟の提起だけではなく、強制執行や調停の申立なども、射程に入ってくると考えられます。

まぁ、もちろん、訴訟行為が「主たる目的」である場合に問題があるわけですので、他にもたくさんの信託事務がある中で、その中に訴訟が含まれる場合は、問題ありません。

信託が行われた経緯や、信託開始から訴訟提起までの時間、その他の信託の事務の割合がどのくらいあるのか、受託者に報酬が払われるのか、受託者の職業、などという総合的な要素を考慮し、脱法行為とみることができるかどうか、公序良俗に反するのかどうか、ということが判定の基準になると考えられます。

ま、普通に信託する上では特に問題にならない規定なんでしょうけどね。

それでは、今日はこの辺で。
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