2017年4月20日木曜日

株式信託の使い方

司法書士の谷口毅です。

前回の記事に続いて受益権について掘り下げようと思ったのですが、ちょっと気が変わったので、株式信託の活用方法。



例えば、創業者の大株主の方が高齢で、引退を考えているとします。しかし、株式の評価は高く、後継者にすぐ贈与するわけにはいかない。

株式を保有したまま認知症や事故にあってしまうと、議決権を行使することができなくなり、株主総会の開催もままならないことになりますね。

なんとか、贈与税がかからず、後継者に株式を移転できないのでしょうか?



このような時に、創業者の大株主の方が委託者兼受益者、後継者が受託者となり、株式を信託することになります。すると、法律上の所有者は受託者に移りますので、議決権は後継者が行使することになります。

税務上は、受益者である創業者の方が株式を保有しているとみなしますから、贈与税はかかりません。これにより、創業者の方は、安心して引退できます。認知症になっても、会社の経営がストップすることはありません。



信託契約の中で、創業者の方が元気なうちは、創業者の指図に従って議決権を行使するように定めれば、創業者のコントロールを効かせることも可能です。

また、創業者の方が、いつでも信託を終了して、株式を取り戻すことができる、というように定めることも可能です。信託を使わないで、株式を贈与してしまうと、よほどのことがない限り、取り戻すことは困難であるといえますから、これは大きな違いですね。

このように、委託者兼受益者の意図で、いつでも信託を終了して株式を取り戻すことができますから、例えば、親族外の方に株式を持たせる、ということも気軽に行うことができます。信託を使わない場合は、親族外の方に株式を持たせると、株式を持ったままどこかに逃げてしまう可能性などもあって、危険であるわけですけどね。

ただ、親族外の方を受託者にする場合、受託者が勝手に株式を第三者に売却してしまう、などの予想外のことが起きないように、信託契約の中で受託者による売却を禁止した上で、破ったら高額の違約金の条項を定めておく、などという工夫も必要かもしれませんね。



なお、会社が剰余金の配当を行ったり、解散して残余財産を分配するような場合、一旦、受託者が剰余金の配当などを受け取り、受益者に渡すことになります。受益者が直接、会社から剰余金などを受け取ることができるわけではないのですね。

前回の記事でみたとおり、受益者というのは、受託者に対する債権者ですから、受益者が何かを請求できるのは受託者に対してだけ。会社に対しては、直接、何かを請求できる権利を持ってない、と考えることができます。

株式信託について、もう少し書くこともあるのですが、今日はこの辺で。
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