2017年5月13日土曜日

民事信託における預金通帳の問題

司法書士の谷口毅です。本日はゆったりした土曜日。
自治体職員向けに依頼された相続登記の研修講師に向けた資料作りなどに取り組んだり、ちょっとボリュームの重い破産申立の書類を作成したりしております。
明日は、岩美町でのマラソン大会で10キロほど走る予定です。
今日も、楽しく民事信託・家族信託を学びましょう。



さて、受託者が信託財産に属する金銭を管理する場合、金融機関において信託専用の口座を作ってもらうのが望ましい、ということは、以前に書いたとおりです。
以前に書いた記事は、こちらですね。

受託者名義の預金口座

最近では、徐々に、「信託口A」「受託者A」「委託者A受託者B」などという名義を付して預金通帳を作成してくれる金融機関が増えてきましたが、まだまだ応じてくれない金融機関も多数ですね。ただ、仮に、信託専用の口座の作成に応じてくれたとしても、その口座の性質については、まだまだ検討すべきところが多いといえます。

例えば、信託には倒産隔離機能がありますので、受託者の債権者は信託財産に属する財産を差押えることができません。(信託財産責任負担債務を除く。)また、受託者が死亡した際には、信託財産に属する財産は受託者の相続人に承継されるのではなく、後任の受託者に引き継がれなければなりません。

それでは、信託専用口座の作成に金融機関が協力してくれたとして、上記のような信託の固有の機能を預金口座に持たせてくれるのでしょうか。これについては、信託フォーラムvol.7に詳しいです。



私が読んだ印象としては、上記のような信託固有の機能を預金口座に持たせようと思うと、金融機関側でもじっくりと法的検討を加える必要があり、そこまで徹底している金融機関は限られているのではないか、という感じです。
従って、信託専用通帳を作る場合であっても、倒産隔離機能が働かない、あるいは受託者の変更の場面でも、スムーズに財産が引き継げないリスクなどがあることを理解しておいたほうがよさそうですね。
あ、信託フォーラムvol.7には、僕の書いた記事もちょこっと掲載されています。

今後も、楽しく民事信託・家族信託を勉強しましょう。

当事務所では、一般の方のみならず、専門家からの有料相談や共同受任などもお受けしております。


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