2017年5月27日土曜日

民事信託の望ましい終了方法

司法書士の谷口毅です。土曜日が過ぎようとしています。
今日は、朝から、成年後見制度利用支援信託を利用した(せざるを得なかった)被後見人さんに関する業務が終了したので、親族後見人の方に財産の引継ぎ。その後、相続登記の必要書類に押印をいただき、あとは破産の書類の仕上げ作業を行っていました。そして、軽く走ってきたところです。


さて、ここ3回の記事で、信託の望ましくない終了事由を説明してきました。
まとめると、
①受託者が欠けたまま1年継続(163条3号)
 対策:後任の受託者、できたらその次の受託者まで定めておく
②受託者が受益権の全てを保有した状態が1年継続(163条2号)
 対策:受託者が受益者になる場合は、受益権を共有にするようにする。
    やむを得ず単独受益者になる場合は、1年以内に受託者か受益者を変更する。
③信託財産が費用に不足する場合の終了(163条4号、52条)
 対策:余裕をもって金銭も信託する
ということでしたね。
このような状態を避けることは、十分に意識しましょう。

それに対して、やはり、当初の契約書作成時に、信託が終了するまでのシナリオを頭の中に描いておいて、その通りに着地するのが、もっとも望ましいといえます。

望ましい終了の方法といえば、
①委託者と受益者の合意による終了(164条1項)
②信託の目的の達成又は不達成(163条1号)
③信託条項で決めておいた事由の発生(163条9号)
というところだと思います。もちろん、事案によるので、一概には言えませんが…

終了事由は信託条項の中で自由に決めておくことができるので、契約書の作成時にどのように規定するのかが専門家の腕の見せ所になりますね。
具体的な終了事由の定め方については、また、機会があればいくつか例を示すことができたらいいな、と思っております。

上記に挙げた他にも終了事由はありますが、ものすごく重要性が高いというわけではありません。一応、信託法163条には目を通しておいた方がいいかな、とは思います。

今後も、民事信託・家族信託を楽しく勉強しましょう。

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