2017年5月25日木曜日

民事信託の望ましくない終了事由 その2

司法書士の谷口毅です。10日ぶりの更新となりました。
この間、東京で日司連の民事信託業務モデル策定ワーキングチームの会議があったり、リーガルサポートの鳥取支部の総会があって、あと2年間、支部長を続投することになったり。



あとは、自治体の職員さん向けに相続登記の講師をさせていただいたり、地元の経済団体で担当例会があったり。
もちろん、通常の不動産登記、少し手の込んだ破産、成年後見などの事務所の仕事もあって、少しバタバタしていました。

さて、今日も民事信託・家族信託について、楽しく学んでいきましょう。

家族信託の望ましくない終わり方の2つ目は、信託法163条3号ですね。
「受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき。」
です。

家族信託の受託者が、ずっと元気で誠実に事務をし続けてくれれば問題はないのですが、死亡や辞任、解任、成年後見の開始審判などがあると、受託者としての任務は終了してしまいます。
この場合、新しい受託者が就任した場合には、前受託者の権利義務を新受託者が引き継ぐことになります。しかし、例えば、新受託者を決めていなかったり、就任を拒絶されてしまったりすると、受託者が決まらないままの状態になってしまいます。

ちょっと脇に逸れますが、このように、前受託者の任務が終了してから、新しい受託者が決まるまでの間の信託財産は、誰に所有権が帰属するのか、という疑問が湧きますね。
原則として、前受託者に所有権が帰属することになります。ただし、前受託者の死亡によって終了した場合には、死んだ前受託者が保有している、と扱うことはできませんので、信託財産は法人である、と擬制されることになります。
この辺の法律関係は色々とあるのですが、機会を見て書くとして、今日の本題に戻します。

前受託者の任務が終了してから、新しい受託者が決まらないまま、1年間も経ってしまう状態は、望ましいものとはいえません。従って、受託者が欠けた状態で1年間が経過した場合には、信託が終了するものと扱われているのです。

このような家族信託の終わり方は、望ましいものとは思えません。信託契約書を作成する際には、受託者が死亡した場合、解任された場合などに備えて、後任の受託者を定めておくことが望ましいといえます。
できれば、後任の受託者にさらに事故があった時の、その次の受託者まで決めておけると良いのですが、そこまで協力していただける方がいるかどうかは、ケースバイケースですね。

それでは、今後も、民事信託・家族信託を楽しく勉強していきましょう。

僕がブログを書く上での、参考文献一覧です。

           
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