2017年5月26日金曜日

民事信託の望ましくない終了事由 その3


司法書士の谷口毅です。
週末になりました。そういえば、今日はプレミアムフライデーだったんですね。ぜんぜん、気にも留めませんでしたが…
普通に不動産の売買の立会いをしたり、遺産承継業務で依頼者の代わりに生命保険金を受領したり、などということをやっておりました。

さて、今日は家族信託の終わり方の中で、望ましくないものの3つ目。信託財産が、費用に不足している場合の終了です。


この規定は、意外と目が向きにくいので注意が必要です。信託法163条4号が、52条を準用する形になっていますね。従って、52条を読まなければいけません。

信託財産の管理をするためには、様々な費用がかかります。その費用は、受託者が支払わなければなりません。受託者の費用の支払については、信託法の中に、かなり細かい規定が定められています。今回は、あまり深くは取り上げませんが…

もちろん、信託財産に金銭が含まれている場合には、信託財産に属する金銭の中から費用を支払えばよいのです。また、受託者が立替払いしたような場合でも、信託財産の中から償還を受けることができますし、一定の要件のもと、受託者が前払いを受けることも認められています。

しかし、もしも、費用に見合う信託財産が存在せず、延々と受託者が立替払いしないといけない羽目になったらどうなるのでしょうか?受託者が損ばかりをすることになりますね。しかも、受託者は原則として無限責任を負うので、費用の支払から逃げることもできません。せっかく受益者のために誠実に財産管理をしているのに、これでは受託者も大変ですね。

このような場合に、受託者は、委託者及び受益者に対し、「信託財産が費用に足りない!この日までに費用相当額を払ってくれないと、もう信託を終わらせてしまうぞ!」と通知をすることができます。

それでもなお、委託者も受益者も、費用相当額を払ってくれない場合には、仕方がありません。これ以上信託を続けても、受託者が気の毒なので、受託者は信託を終了させることを決定することができるのです。

このような終了事由も存在するので、維持管理に費用がかかるような財産を信託する場合には、余裕をもった金額の金銭も同時に信託することが望ましい、ということになります。

想像すればするほど、大変悲しい終わり方なので、こうならないように配慮しなければなりません。

これからも、楽しく民事信託・家族信託を勉強しましょう。

僕がブログを書く上での、参考文献一覧です。

           
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