大阪の司法書士、岡根が担当させて頂きます。
本日は、受益権の放棄のお話です。
民事信託の契約書を作成するとき、受益権の放棄がなされた場合のことまで想定して、契約条項を整理することは少ないのではないでしょうか。
今回から、受益権の放棄について、何回かに分けて考えてみたいと思います。
受益権の放棄を考える前に、まずは、受益権の取得について復習しておきましょう。
信託法第88条は、「信託行為の定めにより受益者となるべき者として指定された者は、当然に受益権を取得する。」と定めています。
この「当然に」というところがミソで、受益者として指定された者は、全く意思表示をしなくても受益権を取得することになります。
この点については、谷口さんが「信託行為の当事者」と「受益者に内緒で信託できるか?」で詳しく解説していますので、確認しておいてくださいね。
受益者に指定された者は、信託財産から利益を受けることができるので、悪い話ではありません。
また、受益者になったことで、何か責任を負わされるという心配もありません。
この点についても、谷口さんが「信託事務費用その6」で解説していますので、確認しておいてくださいね。
受益者に指定されたとしても、利益を得るだけで責任を負うこともないので、困る人はいないように思えます。
しかし、信託法第99条では、受益者が受託者に対して受益権を放棄する旨の意思表示をすることを認めています。
これは、いったい何故でしょうか?
つづきます。
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