大阪の司法書士、岡根が担当させて頂きます。
本日は、受益権の放棄のお話の続きです。
前回の記事はこちらです。
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前回の事例を少し変えてみます。
三男が経営する会社の業績は不振で、会社と三男には多額の借金があったとします。
この場合、受益者に指定された三男にとってみれば、信託財産から給付を受けた金銭を返済に充てることができるので、それは有り難いことでしょう。
他方で、お父さんが働いて残してくれた資産を、みすみす債権者に取られてしまうくらいなら、受益権なんて要らないと考えるかも知れません。
三男がこのような状態で、受益権を放棄した場合、債権者を害する行為とならないのかが気になるところですね。
この点、判例上、相続放棄は詐害行為取消しの対象とならないとされており、受益権の放棄についても同様に考えるべきだとする学説があります。
受益権の放棄が詐害行為とならないのであれば、三男は受益権を放棄し、受益者となることを拒絶することを選択するかも知れません。
こう考えると、自己の意思に反して、信託の利益の享受を強制されないための規定を設けた趣旨も理解できるのではないかと思います。
つづきます。
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