大阪の司法書士、岡根が担当させて頂きます。
本日は、受益権の放棄のお話の続きです。
前回の記事はこちらです。
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信託法第99条1項本文は、「受益者は、受託者に対し、受益権を放棄する旨の意思表示をすることができる。」と規定しています。
立法担当者によると、この規定は、受益者として指定された者が、自己の意思に反して、信託の利益の享受を強制されないために設けられたようです。
ここで、少し具体的にイメージしてみましょう。
家族構成は、父、母、長女、長男、二男、三男です。
お父さんは、長女を受託者として、自宅不動産と金銭につき信託を設定しました。
お父さんは、信託設定当初の受益者を自分自身とし、自身死亡後の受益者をお母さん、お母さん死亡後の受益者を三男、三男死亡後の受益者を二男と定めました。
お父さんは、自営業を営む三男の将来のことを心配して、このような信託を設定しました。
この場合、受益者として指定された三男にとってみれば、住居と生活費が確保されることになるので、悪い話ではないと思います。
しかし、三男が経営する会社の業績は順調で、既に豪邸を手にしており、何不自由ない暮らしができている場合はどうでしょう?
自分は全く困っていないのに、受益者として指定されたばかりに、他の兄弟から疎まれることになる可能性もあります。
三男は受益権なんて要らないと思うかも知れません。
こう考えると、自己の意思に反して、信託の利益の享受を強制されないようにしておく必要性があるのも納得できます。
つづきます。
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