本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。
本日は、「新受託者による権利義務の承継」のお話の続きです。
前回までの記事はこちらです。
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前回は、受託者の任務終了事由の発生~新受託者が信託事務を開始するまでの間、信託財産を誰が保管し、新受託者への引き継ぎの準備をするのかについてお話をしました。
受託者の任務終了事由によって、前受託者だったり、その相続人だったり、成年後見人だったりするということでしたね。
そして、これらの者は、新受託者へ引き継ぐまでの保管者でしかないので、積極的に信託財産を処分したりすることはできないということでした。
ですが、これにも例外があって、それが、受託者が辞任してその任務を終了した場合です。
辞任以外の場合は、受託者が能力を喪失したり、解任されて信任関係を失ったりして、受託者として積極的な行為をさせるべきでないと考えられるケースです。
ですが、辞任の場合は、受託者の自己都合で受託者を辞めるわけですから、前受託者は、新受託者が信託事務ができるようになるまで、引き続き、受託者としての権利を有し、義務を負担しなければならないとされています(信託法第59条第4項)。
信託は、委託者と受託者の信任関係のもとに成立しているのですから、新受託者が引き継げるようになるまで責任を負いなさいとされるのは、当然のことといえると思います。
ですから、前受託者から新受託者への権利義務が承継されるとみなされる時期が、受託者の辞任による場合だけ、前受託者の任務が終了した時ではなく、新受託者の就任した時(信託法第75条2項)となっていたのです。
そうそう、受託者が死亡した時、その相続人が信託財産の保管と新受託者への引き継ぎを行いますが、信託財産は受託者の相続人に帰属することにはならないので、この点、注意してくださいね。
この点については、谷口さんが「受託者の死亡と信託財産法人」で詳しく説明しているので、是非、読んでみてください!
今日はこの辺で。
信託の学校、開校準備中です!!!
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