2017年7月17日月曜日

受託者の死亡と信託財産法人

司法書士の谷口毅です。
40記事目。とりあえずの目標である100記事まで、4割くらいまで来ました。
まだまだ書くネタはたくさんあるので、時間がある時に更新していこうと思います。


今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
さて、今日は前回の続きで、受託者の変更について考えてみましょう。
受託者の任務終了の事由は、信託法56条に列挙されています。
そのうちの1つ目、受託者の死亡です。

受託者が死亡すると、受託者としての任務は終了し、新受託者に任務を引き継ぐことになります。ところで、受託者が死亡したら、新しい受託者が就任するまでの間、空白期間が生じる可能性がありますね。その間、誰が信託財産の所有者なのでしょうか?

死亡した受託者の相続人に所有権があるのでしょうか?いえ、そういうわけではありません。受託者の地位は相続に馴染むものではないからです。



誰のものでもない、ということは、無主物になってしまうのでしょうか?
無主物になってしまうと、信託という規律自体がなくなってしまい、バラバラな財産になりかねないですよね。それも不合理です。

前受託者の死亡後、新受託者が就任するまでの間、誰の財産でもない期間ができてしまう。これを、無主物ではなく、信託という規律を維持したままで、財産を帰属させる主体を作り出そうとすると、どうなるか。

分かる人はもう分かったと思いますが、法律の規定によって、法人であると扱い、その法人を信託財産の帰属主体とするほかはありません(信託法74条1項)。この法人は、信託財産法人と呼ばれます。

民法と同じですね。民法でも、相続人があることが明らかでない場合には、無主物として規律のないバラバラな財産になっては困るから、相続財産を法人として扱うことで、財産の帰属主体を作り出したはずです(民法951条)。相続財産法人と呼ばれますよね。

話を信託に戻します。新しい受託者が就任した時には、信託財産法人は、その成立の時に遡って成立しなかったものとみなされ(信託法74条3項)、前受託者から新受託者に対し、直接移転するものと扱われるのです。

前受託者の死亡から新受託者の就任までの間に、暫定的に作り出される法人。しかし、新受託者が就任するや否や、当初から成立していなかったと扱われるのだから、なんだか幻みたいな感じですね。
実務上は、このような法人の存在を意識することはあまりないのでしょうけれども、法律の仕組みとしては知っておいても良いのかな、と思います。

あ、そうそう、信託財産法人が成立するのは、受託者の死亡による任務終了の場合だけで、辞任や解任、破産手続開始決定や後見・保佐の開始決定などの場合にはあてはまりません。

当事務所は、一般の方からの相談、専門家からの相談や契約書チェック、共同受任、講演会や勉強会の講師などをお受けしております。

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