本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。
本日は、「新受託者による権利義務の承継」のお話の続きです。
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前回、受託者の任務が終了し、新受託者が前受託者から権利義務を承継したものとみなされる時期について、信託法は、任務の終了事由によって異なる規定をしているというお話をしました。
本日は、受託者の任務終了事由の発生~新受託者が信託事務を開始するまでの間、信託財産を誰が保管し、新受託者への引き継ぎの準備をするのかについて、その権限とともに整理したいと思います。
信託法は、新受託者が選任されて信託事務ができるようになるまでの間、前受託者が信託財産を保管して、引き継ぎのために必要な準備をするように規定しています(信託法第59条第3項)。
もっとも、前受託者が亡くなったりときはもちろんですが、受託者について後見や保佐が開始されたり、受託者が破産手続開始の決定を受けた場合には、財産管理をすることが難しい状態になってしまいます。
ですので、それらの場合は、前受託者に代わり、その相続人・成年後見人・保佐人・破産管財人が信託財産を保管して、引き継ぎのために必要な準備をすると規定していています(信託法第60条第2項、第4項)。
ただし、これらの者は、新受託者へ引き継ぐまでの保管者でしかないので、積極的に信託財産を処分したりすることはできません。
あくまで、保管と引き継ぎ必要な準備だけをおこなってもらうことになります。
前受託者は本来の任務は終了していますし、前受託者の相続人や成年後見人等はあくまで前受託者のピンチヒッターなのですから、権限が限定されていてるのは納得できます。
万が一、任務の終了事由が発生した前受託者、その相続人や成年後見人等が、信託財産に属する財産を処分しようとした場合には、受益者は、これらの者にその財産を処分することを止めるように請求することができるとされています(信託法第59条第5項、第60条第3項・第5項)。
長くなってしまったので、続きは次回。
信託の学校の開校準備、進んでいます!
すこしずつご紹介していきますので、お楽しみに。
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