2020年5月19日火曜日

受託者が得た財産(その3)

おはようございます。

大阪の司法書士、岡根が担当させて頂きます。

本日は、信託財産の範囲に関するお話の続きです。

前回までの記事はこちらです。
受託者が得た財産(その1) 
受託者が得た財産(その2)   


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お父さんが信託せずに手元に残した財産やお父さんが将来取得する年金なども国庫に帰属させることなく、甥に承継させるにはどのような方法があるか、について考えてみましょう。

まず、お父さんの財産を追加信託する方法が考えられますね。

追加信託で信託財産に注ぎ込むことにより、甥への財産承継が可能となります。追加信託の法的性質については、谷口さんが、追加信託その1で詳しく解説していますので、是非、読んでみて下さいね。

この解説にもあるように、追加信託の考え方は、何れも、委託者と受託者の合意を前提としています。

お父さんが認知症等により判断能力が低下した後は、追加信託の合意をすることはできないので、この方法にも限界があることになりますね。


では、ここで、信託法16条の立法担当者の解説を思い出してみましょう。

信託財産に対する贈与によって受託者が無償で取得した財産も信託財産に含まれる、という解説です。

贈与を遺贈に置き換えてみましょう。

お父さんの死亡時に全財産を信託財産に対して遺贈すれば、受託者が取得した財産は信託財産となり、甥への承継が可能となります。

私は、このような事案では、必要に応じて、信託財産に注ぎ込むための遺言も作成するようにしています。


つづきます。


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私は、信託の学校では、契約書案や解説書の作成などを担当しています。




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