2020年2月7日金曜日

信託事務費用 その4

おはようございます。

本日の担当は、鳥取の司法書士の谷口毅です。


信託事務費用の続き、その4です。

前回の記事はこちらです。


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前回、前払という言葉の意味を解説しました。

しかし、実務上、前払を行うことは稀であると考えられます。

これは、委任と信託を比べてみれば、よく分かると思います。

委任の場合、必要な費用をあらかじめ委任者から預かっておく、ということがよくあると思います。

私たち司法書士も、登記をする際には、法務局に何十万円も納めることがありますので、事前に依頼者からお金を預かりますね。


うっかり、自分が立替払いをしてしまうと、後で依頼者が逃げてしまった場合に、自腹を切らないといけないので、前払を受けることは大変に重要です。

しかし、信託の場合は、信託財産も、固有財産も、どちらも受託者の財産です。

委任の場合のように、依頼者が逃げてしまうことは想定できません。

わざわざ前払を受けて、事前に信託財産から固有財産に移す必要はないのです。

必要な都度、信託財産から払えば、それでよいわけですから。

また、前払には危険な側面もあります。

例えば、受託者が、今後5年間に必要な固定資産税相当額の前払を受けて、事前に信託財産から固有財産に移してしまったとします。

こうすると、合理性もないのに、信託財産の目減りを招くことになりますね。

つまり、不必要に前払を受けること自体が、善管注意義務違反になってしまうのです。

だからこそ、信託の受託者は、前払を受けることは稀なのです。


続きます。


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