2020年1月31日金曜日

信託事務費用 その3


おはようございます。

本日の担当は、鳥取の司法書士の谷口毅です。


信託事務費用の続き、その3です。

前回の記事はこちらです。



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前回は、固有財産から支払った後に、信託財産から償還を受ける方法を述べました。

もう1つ、信託法には、前払を受ける方法も規定されています。


前払を受けるためには、受益者に対し、前払を受ける金額と算定根拠を通知しないといけません。

契約条項の中で別段の定めを置けば、この通知は不要となりますが



この前払という用語は、少し、誤解されることがあります。

例えば、10日後に固定資産税を支払わないといけないから、事前に、信託専用の預金口座の中からお金を出金して、受託者の手元に置いておくことを前払ととらえてしまうと、誤りです。

なぜなら、これは、受託者が信託財産に属する預金を引き出して、信託財産に属する現金に換えただけだからです。

預金から現金に形は変わっていますが、信託財産に属する財産のままですので、これを前払とは呼びません。


前払とは、将来、必要になると見込まれる費用の相当額を、あらかじめ、信託財産から固有財産に移しておくことを指すのです。

しかし、信託財産に属する個々の財産を信託財産から固有財産に移すことは、利益相反行為ですので、軽々しくおこなってはいけません。

つまり、前払とは、利益相反行為の例外の一種なのです。

よって、受託者が前払いをするためには、受益者に対して、金額と算定根拠を通知する、という厳格な手続が必要になるのです。


続きます。

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