2019年8月2日金曜日

追加信託その1

とても暑い中ですが、みなさんお元気でしょうか。
本日の記事は、私、鳥取の谷口がお送りします。

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民事信託契約書を作成する中で、必ずといっていいほど盛り込むのは、追加信託の条項です。
信託が開始した後になって、追加で、別の財産を信託する必要性が生まれた場合に、この条項が生きてきます。


しかし、追加信託という言葉、気軽に使ってはいるものの、結構、難しいところもあるのです。


追加信託という言葉は、信託法に規定がありません。
信託法の原則では、1回1回契約するたびに、別個の信託が新しく組成されるという規定ぶりになっています。
1度成立した信託に、後から財産を追加するような規定は、法律のどこを読んでも存在しません。


しかし、昔から実務上、追加信託は普通に行われてきました。
そうでないと、投資信託で次から次へとお客さんが新たに投資していくような行為を説明できませんね。
このような追加信託を、理屈上、どのように説明するのか。


1つの説明の仕方は、「新たな信託の設定と併合を黙示のうちに行うものだ」という考え方です。
1000万円の金銭信託があって、さらに1000万円を追加信託して2000万円の信託にします。
この場合、今までの1000万円の信託が存在して、次に、別個の1000万円の信託が新たに組成されます。
そして、この2つの信託は、一瞬だけ、別々に存在したかと思うと、すぐに合体して1つの信託になってしまう、という考え方です。


他の説明の仕方は、「信託財産を変更するという信託の変更の一種である」という考え方です。
今までの信託は、1000万円を元本とするものだった。
これを合意により変更し、2000万円を元本とするという信託の変更をする。


いずれの説明の仕方を取るにせよ、追加信託は、信託財産を大きく増やします。
そうすると、受託者の責任も重たくなりますし、委託者から受託者への財産の所有権の移転も起きます。
従って、委託者と受託者が明確に合意した上でないと、追加信託という重大な行為は危険であると考えられます。

追加信託については、また、別の記事でも書いていきたいと思います。

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