2020年4月14日火曜日

受益権の放棄 その5

おはようございます。

大阪の司法書士、岡根が担当させて頂きます。

本日は、受益権の放棄のお話の続きで、今回が最終回です

前回の記事はこちらです。


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後継ぎ遺贈型の受益者連続信託の条項を設ける場合、信託法91条に従って、次のように定めた条項例を目にすることがありますが、問題のある条項例だと考えています。

 
1)当初の受益者B 1が死亡した場合は、B1の受益権は消滅し、B2が新たな受益権を取得し、受益者となる。
 
2B2が死亡した場合は、B2の受益権は消滅し、B3が新たな受益権を取得し、受益者となる。
 
3B3が死亡した場合は、B3の受益権は消滅し、B4が新たな受益権を取得し、受益者となる。
 
4B4が死亡した場合は、B4の受益権は消滅し、B5が新たな受益権を取得し、受益者となる。

それでは、この条項の問題点は、どこにあるでしょうか?

受益者の死亡する順番が変わったり、受益権を放棄する者などが出てきた場合に、誰が受益権を取得することになるかが判然としないところです。


それでは、どのように規定すればよいでしょうか?

ここで、一例を挙げておきます。

(1)本信託の当初の受益者は、B1とする。
(2)B1死亡後の受益者につき、下記の通り順位を定める。
第一順位 B 2
第二順位 B
第三順位 B
第四順位 B
(3)受益者が死亡したときは、当該受益権は消滅し、前項の順位に従い、生存している最先順位の者(以下、「最先順位者」という。)が新たな受益権を取得し、受益者となる。
(4)最先順位者が受益権を放棄したときは、(2)の順位に従い、生存している次順位の者が新たな受益権を取得し、受益者となる。なお、次順位以下の者が受益権を放棄した場合も同様とする。

これまで、5回に分けて、受益権の放棄について見てきましたが、契約書を作成する際に検討してみてはいかがでしょうか。

いずれにしても、民事信託の契約書を作成するときは、あらゆることを想定して、条項を整理することが重要ですね。



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