2017年7月9日日曜日

民事信託と不動産取得税 その3

司法書士の谷口毅です。
ブログの更新の間隔が、ずいぶんと空いてしまいましたね…
6月後半あたりから、少し忙しくなってしまいまして、ブログのことを考える余裕がなくなっておりました。
民事執行の書類作成がいくつか、破産の書類作成も仕上げをしなければいけなかったり、月末の登記がたくさんあったり、あとはリーガルサポートの本部総会で東京とか、鳥取支部役員会の準備とか、広島で成年後見利用促進法関係の会議とか…
ようやく一息つける余裕が出てきた、という感じです。
ま、趣味でやっているブログなので、できる範囲でしっかりと更新していきたいと思います。




さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
今日は、不動産取得税の3回目です。

前2回の記事を振り返ってみますと…

民事信託と不動産取得税
民事信託と不動産取得税 その2

①信託の開始時、委託者から受託者に所有権を移転する場合は、不動産取得税がかからない。
②信託財産の運用によって、例えば信託財産に属する金銭で不動産を買ったり、新築したりする場合には、受託者に不動産取得税が課税される。
③受益権の譲渡には、不動産取得税が課税されない。
④受託者変更時の所有権移転は、不動産取得税が課税されない。

ということでした。

では、信託の終了時はいかがでしょうか。
信託が終了すると、受託者から、帰属権利者等に対して所有権が移転しますね。
この場合、不動産取得税が課税されるのでしょうか。

これについては、3つのパターンに分けて考える必要があります。
詳しくは、地方税法73条の7第4号に書かれています。

まず、1つ目のパターン。
委託者兼受益者である信託(自益信託)が終了して、委託者兼受益者が帰属権利者等になった場合を考えます。
この場合、委託者がいったん受託者に信託したものの、信託が終了した結果、委託者のもとに再び不動産が返ってきたことになります。
信託継続中も、ずっと委託者が受益者であり続けたわけですから、信託が始まる前も、信託継続中も、信託終了後も、実質的な利益については移転していないのだ、と考えることができます。
このような場合には、形式的な所有権の移転に過ぎないと考えて、不動産取得税は課税されません。

次に、2つ目のパターン。
委託者兼受益者である信託(自益信託)が継続中に、受益者が死亡し、受益権が法定相続人に相続された場合を考えます。その後に、信託が終了して、受益権を相続した者が帰属権利者等になったとします。
この場合、当初の委託者兼受益者から受益権を相続した者が帰属権利者等になったわけです。
そうすると、実質的な利益の所在から考えると、ずっと委託者兼受益者が持っていたものを、相続によって法定相続人が取得したもの、と考えることができますね。
すると、これは相続による不動産の取得と同視できます。
相続による不動産の取得には、不動産取得税が課税されませんので、それと同様に、信託の終了の場合にも不動産取得税は課税されない、ということになります。
なお、相続だけでなく、法人である委託者兼受益者の合併や会社分割によって受益権が移転した場合も同様に考えてください。

最後に、上記の1と2のどちらにも当てはまらない場合を考えます。
例えば、他益信託のパターン。
委託者と受益者が別の人物になってしまえば、実質的な利益が移転したと考えることができます。そうすると、信託の終了時には不動産取得税を課税することになります。
また、自益信託であっても、委託者兼受益者以外の者に残余財産が帰属するパターン。
このパターンでも、やはり、不動産取得税は課税されます。

受益権が相続(合併、会社分割)以外の原因で移転せず、元の持ち主(又はその一般承継人)に不動産が戻った、という場合には不動産取得税は課税されない。
しかし、受益権が第三者に移転してしまった場合や、元の持ち主や相続人以外に残余財産が帰属した場合には不動産取得税が課税されると考えればいいでしょう。

なかなか難しいですね。

信託を使うと流通税の削減ができる、例えば受益権を譲渡すると不動産取得税も登録免許税もとても安い、ということがよく言われます。確かに、信託の継続中はその通りなのですが、信託終了時の不動産取得税や登録免許税のことも考えておいたほうがよい、ということになりますね。

それでは、今日はこの辺で。
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