2017年6月17日土曜日

民事信託と不動産取得税

司法書士の谷口毅です。
土曜日です。少しずつ溜まった仕事も片付けつつ、来月の信託の勉強会の準備もしつつ、あと、ちょっと市外に出てのんびり遊びつつ、という感じの週末です。
あ、リーガルサポートの支部長だから、研修のことも考えねば…ということも脳裏にちらついています。


さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。
これから少しずつ、信託と税金の話を書いていきますね。
今日は、不動産取得税の話。

なお、税金については、この本が詳しいです。

不動産を信託すると、委託者から受託者に不動産の所有権が移転します。
通常ですと、不動産の所有権を取得した者には、不動産取得税が課税されます。
しかし、信託によって所有権を取得した場合には、不動産取得税が課税されないという決まりになっています。

なぜかというと、これは地方税法の73条の7第2号に規定があるからですね。

地方税法の73条の7は、「形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税」
について書いてあるのですが、その中に、「委託者から受託者に信託財産を移す場合における不動産の取得」は非課税ですよ、と書かれているのです。
さらに、同条の5号には、「信託の受託者の変更があつた場合における新たな受託者による不動産の取得」も非課税であると書かれています。

つまり、①信託の開始時に委託者から受託者に所有権が移転する場合、②信託の継続中に、受託者変更により所有権が移転する場合
この2つについては、不動産取得税が課されないのですね。

では、信託の継続中に、受益権が譲渡された場合はどうか?
この場合にも、不動産取得税は発生しません。

なぜなら、不動産取得税は、不動産の「所有権」を取得した場合に課される税金だからです。受益権は、所有権ではなく、債権ですから、不動産取得税とは無関係といえますね。

だからこそ、不動産の現物を売買するよりも、信託受益権を売買した方が不動産取得税が課されない分コストが安い、登録免許税も大幅に節減できる、と言われたりするわけです。
一般的な物件ではそれほどのメリットがでませんが、数億円クラスの大きな物件になると、流通税の節減として信託が使われることもありますね。

不動産取得税については、まだまだ論点がありますが、今日はこの辺で。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門家からの有料相談、共同受任、講演会や勉強会の講師もお受けしております。

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