司法書士の谷口毅です。
今日は、ちょっとした用事で米子市まで往復してきました。
あんまり仕事はできていませんが、まぁ、こういう日もいいでしょう…
さて、今日も楽しく民事信託・家族信託を勉強しましょう。
国税庁と言えば、佐川(以下略)…
さて、今日の記事は、この国税庁の考え方をもとに、個人的な考えをまとめたものですので、逆にみなさんの混乱を深めてしまうかもしれませんが…
さて、今日の記事は、この国税庁の考え方をもとに、個人的な考えをまとめたものですので、逆にみなさんの混乱を深めてしまうかもしれませんが…
信託終了時の登録免許税については、色々と疑義があったのですが、少し解消されました。ケースⅠは、まぁそうだろうな、と思うのですが、ケースⅡは、今まで実務家の間でも考えが分かれていたので、利用者にとって有利な形で整理していただいてありがたく感じています。
ただし、ケースⅢについての考え方は、かなりびっくりしています…利用者にとっては、かなり有利な形ですね。少なくとも私の周りの実務家では、このような考え方を採る人はいなかったように思います。
一方、不動産取得税についても同様の考え方が成立するかどうかは、ちょっと分からないと感じています。登録免許税法7条2項と、地方税法73条の7の4号ロは、似ているようでいて若干規定振りが違いますので…
個人的な感想としては、ケースⅠとケースⅡは、この国税庁の考え方が不動産取得税にも適用できるような気がしています。
ただ、ケースⅢについては微妙な気がします。登録免許税が相続に準じて1000分の4になることは示されましたが、不動産取得税が相続に準じて非課税になるのかどうかは分かりません。
地方税法の文理解釈からいって、課税されるという読み方も、課税されないという読み方もできるように感じています。
登録免許税法7条の2は、帰属権利者等が、「信託の効力が生じた時における委託者の相続人」であるということを要件としていますが、地方税法73条の7の4号ロは、「信託の効力が生じた時における委託者から第一号に規定する相続をした者」であることを要件としています。
登録免許税法上の「相続人」と、地方税法上の「第一号に規定する相続をした者」を同視していいのかどうか、よく分からないのです。
地方税法の読み方として、当初委託者の死亡とは無関係に、別個の原因で受益権を取得した場合でもいいのか、それとも死亡を基因として受益権を取得しないといけないのか、という点に疑義が残るような気がしています。
とはいえ、登録免許税と不動産取得税で、この部分だけ考え方が分かれるのもおかしいので、やはり非課税である、と考えるのが素直なのでしょうか。「受益権を相続した者」とは、どこにも書いていないわけですから。
つらつらと考えてみるに、登録免許税法が「相続人」と記載し、地方税法が「第一号に規定する相続をした者」と記載しているのは、登録免許税の場合、包括受遺者については相続とみなすことなく1000分の20が適用されるのに対して、不動産取得税の場合は包括受遺者についても相続とみなして非課税としているから、その考え方の差異を信託の終了の場合に反映させるために文言が異なっているのかな、という気がしました。(第一号、という部分に包括遺贈の場合が書いてある)
そう考えると、両法の文言の差異は、今回は別に気にするようなことではないのかもしれません。ケースⅢについては完全に相続と同視して、登録免許税1000分の4、不動産取得税も非課税である、と考えることも可能であるように思えてきます。
ま、最終的なところは、僕にはよく分からないんですけどね。
つらつらと考えてみるに、登録免許税法が「相続人」と記載し、地方税法が「第一号に規定する相続をした者」と記載しているのは、登録免許税の場合、包括受遺者については相続とみなすことなく1000分の20が適用されるのに対して、不動産取得税の場合は包括受遺者についても相続とみなして非課税としているから、その考え方の差異を信託の終了の場合に反映させるために文言が異なっているのかな、という気がしました。(第一号、という部分に包括遺贈の場合が書いてある)
そう考えると、両法の文言の差異は、今回は別に気にするようなことではないのかもしれません。ケースⅢについては完全に相続と同視して、登録免許税1000分の4、不動産取得税も非課税である、と考えることも可能であるように思えてきます。
ま、最終的なところは、僕にはよく分からないんですけどね。
あと、国税庁の考え方ですと、受益権の移転に伴って委託者の地位も移転していることを前提にしています。そうすると、委託者の権利を放棄した場合や、委託者の地位は相続によって承継されず、消滅する旨の信託行為の定めを付した場合には、この考え方が適用されず、登録免許税が高くなり、不動産取得税が課税されてしまうという可能性があると考えます。
そうすると、念のため、委託者の地位は受益権にともなって当然に移転する、という定めを置くことが安全であるような気がしてしまいます。
さらに、受益者変更登記をする際には、委託者の変更登記も忘れないほうがよさそうですね。登録免許税の審査は登記官が登記記録に基づいて形式的に行うでしょうから、登記に遺漏がないように心がけなければなりません。
さらに、この国税庁のケースⅢの考え方を広げていくと、下記のようなケースでも、相続に準じて登録免許税が安くなると考える余地が発生します。
例)受益権をA⇒B⇒Cと転売した。その後、Aが死亡し、Dが相続人となった。Cは、Dに対して受益権を売った。なお、委託者の地位は、受益権とともにずっと移転している。その後、信託が終了し、Dが帰属権利者となった。
途中で無関係のBCへの受益権売買を挟んでも、最終的にDがAの相続人であり、かつ、委託者としての地位がずっと受益権に伴って移転していれば、登録免許税は相続に準じて安くなり、不動産取得税もかからない、と考えることができるように読めてしまいます。
さらに、帰属権利者等が当初委託者の直接の相続人ではなく、数次相続を経た後の相続人である場合も適用がある、と考えるのが素直である気がしますが、確証はありません。
もう一つ、当初委託者の死亡時と、相続人が受益権を取得した時の先後は問題になるのか、ならないのか、という点も問題になるような気がします。
国税庁の考え方を素直に読むと、委託者兼当初受益者が、子供に受益権を贈与し、その後死亡した場合にも適用があるようにも読めてしまいます。すると、信託終了時の登録免許税は1000分の4で、不動産取得税がかからない生前贈与ができる、という考え方も成立してしまいます。
今まで、私は、信託の終了に関して登録免許税が1000分の4になり、不動産取得税が非課税になるのは、受益権の移転の過程が、すべて委託者兼受益者からの相続と同視できる場合に限られると思っていたのですが、必ずしもそうではない、と示されてしまいました。
これは、私にとっては驚くような考え方の転換であり、どの程度まで拡張して適用していいのか、適用上の留意点はないのか、登録免許税と不動産取得税を同視していいのかなど、考えなければいけない論点がたくさん発生してしまったように思います。
まだまだ分からない点が多い、というのが本音ではありますが、考え方が多少なりとも整理されたという点では一歩前進であり、しかも実務家や信託の利用者にとっては有利な形での考え方が示された、といえると思います。
信託は、未知の荒野を手探りで前に向かって進んでいく分野なので、利用者が増えて関係省庁にどんどん照会を出し、みなで新しい規範を鼎立していく必要がありますね。
すいません、分からない人はぜんぜん分からない記事だと思うので、分からなければそれはそれで結構です。
ただ、信託に取り組む実務家は、多くが、このように答えの出ない問題に日々直面しながら、会うたびにみんなで、あーでもないこーでもない、と言い合っているのです。なので、私が普段からブログに書いているのは、「かろうじて、正確であろうと考えられるほんの一部の情報」だけなのであります。
それでは今日は、この辺で。
ただ、信託に取り組む実務家は、多くが、このように答えの出ない問題に日々直面しながら、会うたびにみんなで、あーでもないこーでもない、と言い合っているのです。なので、私が普段からブログに書いているのは、「かろうじて、正確であろうと考えられるほんの一部の情報」だけなのであります。
それでは今日は、この辺で。
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