2020年8月25日火曜日

受益者代理人に代理される受益者の登記 その6

おはようございます。


本日は、東京の司法書士の池田弘子が担当させていただきます。
「受益者代理人に代理される受益者の登記」に関するお話の続き(その6)です。

前回までの記事はこちらです。
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受益者代理人に代理される受益者の登記(その1)

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前回の続き、(事例2)の場合の「受益者代理人に代理される受益者の登記」についての検討です。(事例2)の内容は、前回の記事をご覧ください。


当初受益者である山田太郎が死亡した後に必要となる登記の申請手続において、受益者と受益者代理人がどのように登記されるかを、(事例1)の【1】【2】の各記載方法で検討してみました。(事例1)と【1】【2】の記載方法の内容は、(その3)の記事をご覧ください。


先例、質疑応答、カウンター相談、専門書籍・・・、思いつくものを参考にして検討してみたものの、【1】【2】のいずれの記載方法も、公示として好ましいと思える結論にたどり着けず・・・。検討の経緯の詳細は、また別の機会にお話しするとして、私の中で問題と感じた点を以下に簡単に記載します。皆さんも検討してみてくださいね。


【1】の記載方法(受益者代理人に肩書を付した記載方法)の場合:

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実体上、受益者が山田太郎から山田三郎に変更しても、受益者代理人である山田花子に変更はない。
ただ、その肩書に変更が生じている。
「受益者山田三郎の受益者代理人」と肩書を変更して山田花子を登記する方法は???
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【2】の記載方法の場合:手元にある過去の登記実例をみると、受益者変更登記(山田太郎山田三郎)をすると、信託目録の「受益者に関する事項等」欄には、以下のように記録されそうです。
今回のブログには間に合いませんでしたが、この点については、もう少し調べたうえで、別の機会にご報告しますね。


仮に、以下のように登記されてしまうとすると、受益者代理人が代理する受益者が、受益者(山田太郎)の下に登記されたり、受益者(山田三郎)の上に登記されたりして、公示としては好ましくないと考えています。

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受益者    丁目号    山田太郎

山田三郎が受益者として登記されると、斜字の部分には抹消線が引かれます。
受益者代理人    ▲丁目      山田花子
―――――――(信託目録に実線が引かれて別枠で登記される。)――――――
受益者変更令和××××××原 因 令和××××××××
受益者  丁目        山田三郎


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私見ですが・・・、
現時点では、(事例2)のような場合は、「受益者に関する事項等」欄に受益者と受益者代理人を併記せず、受益者代理人のみを登記した記載方法の方が、公示としてより良いと考えています。


ただ、(その4)でもお話ししたとおり、受益者については、「受益者に関する事項等」欄に登記しないこととした場合も、「信託条項」欄の「その他の信託の条項」等に登記することを検討することが必要と考えています。


信託の登記、特に民事信託に関する登記は、まだまだ不明な点が多く、登記実例や考え方も錯綜していて、法務局ごとに取り扱いが異なる事例も少なからずあります。


信託の学校では、会員の皆様と一緒に、未だ取扱いが確定していない登記手続きの問題点等についても、議論を重ねて、積極的に検討していきたいと考えています。




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