おはようございます。
本日は、大阪の司法書士の岡根昇が担当します。
受託者の競合行為の制限について、考えてみましょう。
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受託者の競合行為は、利益相反行為と同様、受託者の忠実義務に反する行為として、信託法上、原則として禁止されています。
競合行為と聞いても、なかなかイメージしにくいですね。
事例を挙げて考えてみたいと思います。
お父さんは、収益不動産の管理等を長男に託したいと考えています。
その長男は、不動産業を営んでおり、自身も複数の収益不動産を保有しています。
お父さんとしては、不動産のプロである長男に収益不動産の管理等を託すことができれば、安心ですよね。
もちろん、長男も不動産のプロですので、収益不動産の管理等を託されることに何ら不安はありません。
そこで、お父さんは、長男を受託者として、収益不動産について信託を設定することにしました。
受託者となった長男は、信託の目的に基づき、お父さんのために、収益不動産の賃借人を募集したり、収益不動産の売却や購入などをすることになります。
他方、長男も、不動産業を営んでいますので、生業として自身の収益不動産の賃借人を募集したり、収益不動産の売却や購入などをすることになります。
ある日、長男のもとに、利回りの良い収益不動産の出物があるという話が舞い込んできました。
長男は、自身の事業として、この不動産を購入したいと思っています。
しかし、長男が、受託者としてこの不動産を購入すれば、不動産は信託財産に属するものとなりますから、受益者であるお父さんにとって利益になります。
このように、個人としての長男と受託者としての長男とが相争う関係になる行為のことを競合行為と呼びます。
それでは、競合行為の制限に関する信託法の条文を確認しておきましょう。
信託法第32条1項
「受託者は、受託者として有する権限に基づいて信託事務の処理としてすることができる行為であってこれをしないことが受益者の利益に反するものについては、これを固有財産又は受託者の利害関係人の計算でしてはならない。」
つづきます。
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