2019年11月26日火曜日

公正証書による信託契約の意義

本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。

今回は、民事信託において信託契約書を公正証書にすることの意義について、3回にわたって考えてみたいと思います。

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本題に入る前に、1回目の本日は「信託の設定方法」と「信託契約の成立要件」について整理しましょう!

信託法第3条は、信託の設定方法として以下の3つの方法を定めています。

~信託の設定方法~

1.信託契約による方法(信託法第3条第1号)

2.遺言による方法(信託法第3条第2号)

3.信託宣言による方法(信託法第3条第3号) 



民事信託の実務では、1の信託契約による方法で信託が設定されるケースが多いのではないでしょうか。

では、ある契約が信託契約であるとされるためには、信託契約において、委託者と受託者の間でどのようなことを定めておかなければならないのでしょう?



信託法第2条第1項と第3条1号に基づいて整理すると・・・・・、

~信託契約の成立要件~

1.特定の財産(信託財産)が存在し、当該財産が受託者に帰属すること。

2.受託者への帰属が、委託者から受託者に対して行う財産の処分(譲渡、担保の設定等)をする方法によりなされること。

3.達成すべき信託の目的が定められていること。

4.受託者が信託の目的に従って、信託財産の管理・処分等、当該目的達成に必要な行為をする義務を負うこと。



信託契約を書面ですることは、信託契約の成立要件ではありません。

しかし、実務では、信託契約を口頭による合意で行うことはありませんよね。

それは、信託契約書を作成することで、以下のようなことが期待されるからだと考えます。

・契約を締結する前に、書面を見てその内容を確認し、検討、吟味することができる。

・当事者間で検討した内容を書面によって確定することで、将来の紛争を予防することができる。

・将来、信託契約の内容について争いがおこったときの証拠書面となる。

・受託者と取引をする第三者が、受託者の権限等、契約の内容を確認することができる。



では、民事信託において信託契約書を、さらに公正証書にまでする意義は?

次は、本題の検討に入りたいと思います。
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