いつの間にやら、もう5回目です。
信託の変更は、条文の解説だけで、こんなに長くなってしまうくらい、複雑なものなのです。
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今までの記事の内容では、
1.委託者・受託者・受益者の三者の合意(原則)
2.受託者と受益者の合意(信託の目的に反しないことが明らかであるとき)
3.受託者の単独の意思表示(信託の目的に反しないこと、受益者の利益に適合することが明らかであるとき)
4.委託者と受益者の合意(受託者の利益を害しないことが明らかであるとき)
5.受託者の単独の意思表示(信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき)
という、5つのパターンをみてきました。
本日は、信託法149条4項です。
信託契約の定めによるものですね。
信託契約で、上記の5パターンの他に、柔軟に変更方法を定めることもできます。
ただ、一定の合理性がある定めでなければいけないとされています。
例えば、信託の目的や受益者の利益に反する変更を、受託者が単独で変更できると定めた場合は、三者の合意の原則規定やその例外規定を設けた趣旨に反します。
従って、このような定めはできないと考えられています。
以上のとおり、順を追って条文を見てみますと、委託者と受託者の合意で行うパターンと、委託者だけの意思表示で行うパターンが規定されていないことに気がつきます。
なぜ、このパターンが明文化されなかったか、立法担当者や学者さんの本を調べましたが、見当たりませんでした。
以上の条文の考え方を見てきますと、「受益者の利益に適合することが明らかであるとき」は、委託者と受託者の合意だけで変更ができそうです。
また、『「受益者の利益に適合すること」及び「受託者の利益を害しないこと」が明らかであるとき』は、委託者の受託者に対する意思表示だけで変更ができそうです。
しかし、明文規定がない以上、これらのパターンで変更できるようにしたいときは、信託契約の定めによることが必要だと思われます。
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