2019年11月12日火曜日

東京地裁平成30年10月23日判決 その4

本日は、鳥取の谷口毅がお送りします。

東京地裁平成30年10月23日判決の続きですね。

今までの記事は、下記をご参照ください。
http://www.tsubasa-trust.net/2019/10/blog-post.html
http://www.tsubasa-trust.net/2019/10/blog-post_11.html
http://www.tsubasa-trust.net/2019/10/blog-post_29.html


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さて、続きです。

原告である父親(委託者兼受益者)と被告である二男(受託者)は、公正証書で信託契約書を作成しました。

しかし、この信託契約締結後、すぐに、父親は、信託を終了させたい、と思うようになります。


訴訟提起に至ったそれぞれの心情までは、判決文から読み取ることはできません。

ただ、いくつかのトラブルの種は、判決文から読み取ることができます。



1つは、父親が養子縁組を結んだこと。

原告の長男は早逝していましたので、二男は、唯一の相続人であるはずでした。

しかし、父親が別の人間と養子縁組を結んだため、二男の他にも相続人が出現してしまいました。

信託が有効であれば、信託した財産は、終了後に二男のものになります。

しかし、信託が無効であれば、養子縁組した他の相続人に財産が流れることになります。

ここで、利害対立が生まれた可能性があります。



次に、二男が、連帯保証契約の締結を拒んだこと。

父親は、これまでも、不動産事業のために信用金庫から繰り返し融資を受け、そのたびに、二男が連帯保証人になっていました。

信託をした土地上にも、新築計画を進める予定でした。

しかし、信託が開始した後に、二男は連帯保証人になることを拒んだため、父親が思い描いた新築計画が頓挫してしまったのです。

こうして、父親は、二男に対して、信託の無効(又は取消、終了など)を主張することになったものと思われます。


続きます。

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