2019年10月1日火曜日

東京地裁平成30年10月23日判決

おはようございます。
鳥取の司法書士の谷口毅です。

本日は、民事信託についての判決が出ていますので、ご紹介させていただきます。

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東京地方裁判所平成30年10月23日判決です。

これは、信託が開始して、間もなく、委託者兼受益者と受託者との間で紛争が起きたケースですね。


委託者兼受益者はお父さん(原告)、受託者は二男(被告)です。


お父さんは、二男に収益不動産をいくつも信託したのですが、
1.信託契約は二男による詐欺によって締結したもので、取り消す
2.信託契約に要素の錯誤があるので、無効である
3.二男に債務不履行があるので、信託契約を解除する
4.信託を終了させたいという意思表示を原告がしたので、信託が終了した
という主張を並べています。


そして、二男に対し、不動産の所有権は全て自分にある、信託の登記を抹消して、所有権の登記も自分に戻すべきだ、と主張しているのです。

それに対し、二男は、信託が有効であり、終了もしていないということで、不動産の所有権は自分にある、信託の登記も消す必要がない、と争っています。

そして、裁判所としては、原告の主張を全て棄却し、信託が有効であると判示しています。


さて、これは、よく考えると、結構、おそろしいことでして…

信託は、「委託者の想いがかなう!」というような謳い文句がなされることがありますね。

でも、信託をしてみたら、実際の委託者の想いと違っていた、ということもありうる、ということです。

そして、いざ、信託を終わらせようと思ったら、受託者に拒否されて終了できない、という状態になってしまうこともある、ということです。


なぜ、このような状態になってしまったのか。
この判決を、数回に分けて、解説しようと思います。

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