2017年10月8日日曜日

渋谷陽一郎著「民事信託の実務と書式」

司法書士の谷口毅です。
今週は結構のんびりしていたのですが、週の前半で体調を崩して、ゆっくりしていました。
週の後半では東京で日司連での会議を行い、鳥取に帰ってすぐに市民後見人養成講座の講師を務めたりして、なんだかバタバタしていました。



さて、信託関係の本の出版や改訂が続きます。
まずは、信託フォーラムのVol.8。注文したので、読まねば…



さらに、遠藤英嗣先生の「新しい家族信託」も改訂の予定だと思われます。
注文受付中ということです。この本もどんどん改訂していきますね…



続いて、渋谷陽一郎先生の「民事信託の実務と書式」。
こちらは、前著である「民事信託における受託者支援の実務と書式」を大幅にページ数を増やし、改訂したもの。



民事信託は、実務についても理論についても、生成途上の業務です。
考えが深まることで著者の論調が変わったり、新たな理論的な問題点が顕在化したり、実務上の潮流が次々と発生したりしていますね。
そうすると、本を書いても、すぐに改訂しなければ時代の流れに合わなくなってしまうのでしょう。
かくいう僕も、以前に書いた書籍に手を加えたい気持ちもあったりします…

民事信託の実務に当たる方々は、このような状況の中で、常に最新の議論に身をおかねばならない、という状況にあります。
人によっても、さらにいえば同じ人の著書でも、時期によってかなり論調が異なりますので、「あの先生がこう言っていた」と鵜呑みにしてしまうのは危険で、様々な論者の意見を聞きながら、バランスよく、見習うべき点や批判すべき点を見出していく必要があると思います。

さて、私は、渋谷陽一郎先生の「民事信託の実務と書籍」を読み始めたところです。
なかなか、他に類書のない書籍であると思っています。

どうしても、私達実務家は、「信託のスキームを構築する」とか、「信託契約書を作成する」とかいうことに目を奪われがちなのですが、著者に言わせれば、それは、所詮は信託の入り口に過ぎないとのことです。
信託が財産管理の仕組みである以上、信託の中核を担うのは受託者であり、その受託者を支援できるかどうかが、健全な信託の発展の鍵であると考えています。
信託の受託者が信託事務を遂行する上で必要な書式類を豊富に準備している、という点に、この本のユニークなところがあると思います。

また、著者は司法書士の制度論に対して、非常に深い造詣を有しています。
司法書士の制度論の中で、民事信託の支援業務が適切な位置づけを見つけることができるのか、という点について、多角的に問題提起をされています。
ちょっと外れますが、雑誌「市民と法」のここ3回の連続記事も、かなり過激な問題提起で面白いです。

「どんどん信託を進めるんだ!司法書士法施行規則規則31条業務だから大丈夫!コンサル業務と同じで誰でもできるはず!」という、勢いのよい信託実務家にとっては、かなり厳しい指摘が並んでいます。
民事信託を巡る紛争は、まだ件数が多いとはいえませんが、これから徐々に顕在化してくることは間違いありません。
そのような中、専門家がどのような立場から、どのようなアドバイスをしたのかも、問われてくる時代が確実に到来するものと考えられます。

そういうわけで、信託の実務を担おうとするみなさまには、多面的な見方を育てるという観点から、一読することをお勧めいたします。

当事務所では、契約書のチェック、共同受任、専門家からの有料相談、研修会の講師などもお受けしております。
それでは今日は、この辺で。

スポンサーリンク

スポンサーリンク


0 件のコメント:

コメントを投稿