2019年8月9日金曜日

信託目録を信用してはいけない?

本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。
今日は、前回の続きで、信託の登記に関するお話です。
本題のテーマは、「信託目録を信用してはいけない?」です。
その前に、不動産を信託するとどのように登記されるのか、簡単に整理しましょう。



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前回の復習
信託契約が開始したら、受託者は、信託の登記をしなければなりません。
これは、受益者や第三者を守るためでしたね。
前回の私の記事は、下記のリンクにあります。


信託設定時の登記
たとえば、
お父さん(A)が、賃貸アパートを長男(B)に信託したときには、
AとBは、
「BがAから賃貸アパートの所有権を取得したこと=所有権移転登記」、
「Bが取得した所有権が信託財産であること=信託の登記」を登記することになります。

そして、この2個の登記は、別々の登記としてではなく、併せて1個の登記として登記記録の所有権を登記する場所(権利部の甲区)に登記されます。
これによって、所有権が移転したことと、信託の内容が公示されることになります。

信託の登記の登記事項
信託の登記の登記事項は、不動産登記法97条1項と2項に規定されていています。
第三者は、信託の登記をみて、信託契約等の概要を知ることができます。
登記事項の主なものとしては、
・委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
・受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
・信託の目的
・信託財産の管理方法
・信託の終了の事由
・その他の信託の条項
などがあります。
そして、信託の登記の登記事項は、権利部(先程の事例であれば甲区)とは別に作成された信託目録に登記されます。


この信託目録ですが、不動産ごとに作成されます。
したがって、例えば、
同一の信託契約で土地5筆が信託されると、内容が全く同じ信託目録が土地ごとに1つずつ作成されて、土地ごとにそれぞれ異なる目録番号が記録されることになります。
ちなみに、信託の登記には、共同担保目録のような共同信託目録なるものは存在しません。
ですので、信託契約書を見なければ、どの不動産が同一の信託契約の信託財産に属しているかはわからないということになります。

信託目録の作成
では、この信託目録、だれが作成しているのでしょう?
登記官? 司法書士?長くなってしまったので、今日はこの辺にして、続きは次回。
次回の私の担当まで、皆さんも、答えを考えておいてくださいね。
関連する条文は、
・不動産登記法97条3項、
・不動産登記規則176条1項、
・不動産登記令7条1項6号、別表65項添付情報欄ハ、です。次回は、「信託目録を信用してはいけない?」の本題に入ります。
一歩間違えば、司法書士としてアウト!になるかもしれない、私がゾッとした、信託目録のお話をしたいと思っています。

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