2019年8月23日金曜日

追加信託その2

8月も終わりに近づいてきました。
一時期の猛烈な暑さに比べると、少しずつ、ラクになってきていますかね?
今週はお盆明けで、それなりに相続登記を申請している、という感じです。

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さて、今回は、私が前回担当した追加信託の記事について、続きを書いていきます。
前回の記事は、こちらです。
追加信託その1


最近、他の方が作った信託契約書の案を拝見するにつけ、下記のような内容が増えてきたと感じます。

1 委託者は、本件信託財産に金銭を追加信託することができる。
2 前項の追加信託をする場合、委託者は、受託者指定の銀行口座への入金により行うものとし、当該入金の事実をもって追加信託の合意があったも のとする。
3 受託者は、前項の入金を受けとたきは速やかに追加信託を受けた旨の書面を委託者に対し交付する。

しかしながら、私は、このような案は望ましくないと考えています。
まず、このような案は、委託者と受託者の合意がなくても追加信託が可能になっています。
委託者が受託者の銀行口座に入金すれば、合意があったものとみなすという規定ぶりは、強引であると考えます。
合意がないにもかかわらず、合意があったものとみなすというのは、危険ではないでしょうか。


例えば、受託者が知らないうちに、委託者が1000万円を口座に振り込んでいた。
受託者も知らないうちに、自分が管理処分すべき財産が増え、責任も加重されてしまう。
ちょっと乱暴ですね。

そして、もしも受託者が入金の事実に気づかないうちに、信託の終了事由が発生したら、どうなってしまうのでしょう。
この追加信託は有効に成立した上で、信託は終了して清算手続に組み入れられるのでしょうか?
それとも、受託者が気づいておらず、実体は合意が成立していないので、追加信託は成立しないで、清算手続から除外されるのでしょうか?

このような疑問が生ずる、不安定な法律関係を招来します。

従って、追加信託をする際には、必ず、委託者と受託者が明確な合意をした後に行うべきだ、と考えています。
追加信託を、ATMに入出金する時のように気軽にとらえると、思わぬトラブルを招来することになるかもしれないので、注意しましょう。

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