2019年7月26日金曜日

信託の登記は義務か??

101回目のブログ記事です。
今日は、東京の司法書士の池田弘子さんにお願いしました。
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東京の赤坂サカスの近くで司法書士をしています、池田弘子です。
旧信託法の時代から、商業施設の証券化のお仕事を受任させていただくことが多く、信託の組成~終了まで色々な案件に携わってきました。
今は、信託登記に関する専門書も沢山発行されていますが、私が信託に関するお仕事を始めた15年程前には、信託登記に関する専門書はほんの数冊のみしかありませんでした。ですので、手探り状態で、お腹がキリキリするような思いをしながら仕事をしたこともしばしば・・・。


今回、谷口さんのブログとメルマガに投稿させていただく機会を得て、お腹キリキリが役に立つこともあるかもしれないと、うれしく思っています。私の失敗談もご紹介しながら、皆さんと一緒に楽しく信託を学んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


今回は、信託登記に関するお話です。


まずは、簡単な質問から・・・。
民事信託の実務のご相談をうけていると、「信託契約は締結したいのですが、できるだけ費用を抑えたいと思っています。委託者と受託者は親子だし、不動産について、信託の登記はしなくてもよいですか?」というご質問をうけることがあります。
皆さんは、どのように回答しますか?
登記はしなくてもよい?、登記はしなければならない?


答えは、「信託の登記はしなければなりません。」ですよね。


まず、信託法は、受託者は、信託財産に属する財産と受託者の固有の財産(=自分自身の財産)とを分別して管理しなければならないと規定しています(受託者の分別管理義務。信託法34条)。
そして、不動産については、信託の登記をすることをもって分別管理の方法とすると規定しています(信託法34条1項1号)。
さらに、この受託者の義務は、信託契約によっても、免除することはできないとされています(信託法34条2項)。


信託財産に属する財産に対しては、受託者に分別管理義務が課されているというだけでなく、法律上、一定の法的な効果が付与されます。

例えば、
1.原則として、信託財産に属する財産に対しては、強制執行等をすることができないこと(信託法23条1項)。 
2.受託者が破産した場合、受託者の固有の財産は破産財団を構成するが、信託財産を保護するために、その受託者の信託財産に属する財産は、破産財団に属しないとされていること(信託法25条1項)。など。


このように、信託財産に属する財産については、第三者との関係においても、受託者の固有の財産とは異なる取り扱いがなされることになります。このため、ある不動産が信託財産に属する財産であることを第三者に対抗するためには、信託の登記が必要とされます。


したがって、信託契約を締結して信託の効力が発生した場合には、受益者や信託財産について取引等を行う第三者の保護を図るために、受託者は、遅滞なく、信託財産である旨の登記をしなければならないことになります。
では、不動産が信託財産に属する財産になると、登記はどのように公示されるのでしょう?


次回は、不動産が信託財産に属する財産となったときの登記について、「信託目録を信用してはいけない?」というテーマで、書いてみたいと思います。
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