2017年9月11日月曜日

受益者ごとに異なる受益債権の定め

司法書士の谷口毅です。
本日は、ちょこちょこと、登記とか破産とか競売申立とかで動いておりました。
これで50記事目。目標の「とりあえず100記事」まで、半分となりました。
さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託の勉強をしましょう。




今日は受益債権について。
「受益権」と、「受益債権」という言葉の違いは、過去に説明しましたね。
「受益権」といえば、受益者が有する権利の総体。経済的な利益を受ける権利だけでなく、受託者の監督の権利や信託の変更などの意思決定の権利なども含めた概念です。
それに対し、「受益債権」といえば、経済的な利益を受ける権利だけを指す概念です。

この、「受益債権」の内容は、信託行為の定めによって決めることができますし、受益者が複数いる場合には、受益者ごとに異なる内容であっても差し支えありません。

例えば、

「受益者Aには毎月10万円を給付し、受益者Bには自宅に居住する利益を与える。」

「受益者Aには大学の学費相当額を給付する。受益者Bには、生活費の不足分の援助として、随時相当な金額を給付する。受益者Cには、信託継続中は利益を与えないが、信託終了時の残余財産を給付する。」

などという定め方が可能です。

なお、契約書の作成の例として、「受益者Aの有する受益権の内容は○○とする」という形で記載されているのを見ることがありますが、これは、私には相当とは思えません。
経済的な給付を指す場合には、契約書の中でも、「受益権」ではなく、「受益債権」という言葉を使うのが正確であると思います。

当事務所では、一般の方からの相談のみならず、専門家からの契約書チェックや共同受任、相談、研修講師等をお受けしております。

それでは、今日はこの辺で。

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