2017年6月13日火曜日

受益者代理人がある場合の信託目録

司法書士の谷口毅です。
30記事目になりました。とりあえず100記事までは、最低継続しようと思ってブログを始めましたので、3割に到達、ということになります。

民事信託は、もう仕事というよりは趣味の一環として、ぼちぼち楽しんでいこうという気持ちです。
義務感ではなく、自分から楽しんで信託について学べる環境を作りたいな、と考えた結果、このブログに行き着きました。

もちろん、依頼者や同業者の相談に乗るときは趣味という気持ちのわけにはいかないので、仕事として真剣にやりますけどね。
講演活動は、完全に趣味になっております。




さて、今日も楽しく、民事信託・家族信託を勉強しましょう。
きょうは、不動産登記の中でも、信託目録の話。

   

信託目録に記録することはたくさんあるのですが、まず、信託目録のはじめに、「委託者に関する事項」「受託者に関する事項」そして、「受益者に関する事項」と書かれた3つの欄があります。
この欄には、委託者、受託者、受益者のそれぞれの氏名又は名称及び住所を記録するのですが…

よく見ると、「委託者に関する事項」「受託者に関する事項」には、「等」がないのに、「受益者に関する事項」にだけ、「等」がついているのです。

つまり、委託者・受託者に関しては、この欄に、それぞれの氏名又は名称及び住所しか記録できないけれども、受益者に関しては、それ以外のものも書けるのだ、ということが分かります。

さらに言えば、受益者の氏名又は名称及び住所というものは、まったく記録する必要すらなくなる場合、というものもあるのです。

一例を挙げますと、受益者代理人に代理される受益者がある場合です。この場合、「受益者に関する事項等」の欄に、受益者代理人の氏名又は名称及び住所を記録すれば、受益者自身については、まったく何も書く必要がなくなります(不動産登記法97条1項4号、同条2項)。

この場合、「受益者に関する事項等」の欄には、

受益者代理人 鳥取市西町○○丁目○○番地
          甲野太郎

と記録することになります。
受益者自身については、書く必要がありません。

そうはいっても、受益者の名前を併記することは禁止されていないので、受益者の名前と受益者代理人の名前を併記することもできます。

この場合、「受益者に関する事項等」の欄には、

受益者 鳥取市東町○○丁目○○番地
       乙野次郎
受益者代理人 鳥取市西町○○丁目○○番地
      甲野太郎

のように併記することになります。

上記のように、受益者代理人だけを記録するのか、受益者代理人と受益者を併記するのか、申請人が選択することになります。実際には、登記申請を代理する司法書士と相談しながら考えることになるでしょう。司法書士の責任は重大ですね。

なぜ、このような取り扱いが認められたかと考えますと、例えば、大規模な商事信託において、受益者の数が多く、交代が激しくて、受託者が把握しきれない、とても登記まで手が回らない、ということもありうるからだ、と考えています。
このような場合に、多数の受益者の権利を受益者代理人が行使できれば、受益者の意思決定も統一できます。登記上も受益者の名前を隠してしまうことで、煩雑な変更登記に煩わされることもないでしょう。
個々の受益者を公示することが、必ずしも容易ではないケースを想定していた、ということですね。

家族信託のような小規模な信託では、受益者代理人と受益者を併記しても、それほど問題はないケースが多いかもしれませんね。

では、今日はこの辺で。

当事務所では、一般の方、同業者、他士業者からの質問・相談や、講演依頼、勉強会講師などもお受けしております。
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