信託は、長期間に及ぶ財産管理制度です。
信託を設定した時には想定していなかったことが、将来、起こりうることがあります。
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例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
①お父さんの事務負担軽減のために、収益不動産につき信託を設定した。
信託設定時は、収益不動産の売却や再築は予定していなかったけれども、
地震の被害に遭い、方針を変更せざるを得なくなった。
②お父さんは、老後の生活資金の管理のため、長男を受託者として金銭を信託した。
信託設定後、二男が交通事故に遭い、高次脳機能障害を患ってしまった。
お父さんは、自身の死亡後は信託を終了させる予定であったけれども、自身死亡後も、信託を終了させることなく、引き続き、二男のために財産を管理してもらいたいと考えるようになった。
このようケースでは、信託を変更することを考えないといけませんね。
①の場合、受託者が信託財産に属する不動産を売却したり再築できるように、受託者の権限を変更しなければなりません。また、売却や再築に伴って、受益者に対する給付内容が変わる場合は、その内容も変更する必要があります。
②の場合、次のように大幅な変更が必要となります。
お父さんの老後の生活資金の管理だけでなく、第二受益者である二男の生活資金の管理を目的となるので、信託の目的の変更が必要となります。
また、第二受益者を二男とする受益者の指定に関する規定を創設し、各受益者に対する給付方法の定め等も必要となります。お父さんの死亡によっては信託を終了させないのですから、信託の終了事由についても変更しなければなりません。
では、このような信託の変更は、誰がどのようにして行うのでしょうか?
まったく自由に行うことができるのでしょうか?
信託の変更の方法は、当事者の合意による変更と裁判所による変更を命じる裁判の二つに大別することができます。
当事者の合意による変更に関する規定は、149条に規定があり、信託の変更に関わる当事者、その要件について、詳しく規定されています。
次回は、この条文を確認したいと思います。
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