今日は、一日ひたすら、会社破産の申立書の仕上げ。
夕方になると疲れきってしまいまして…
頭脳労働に向いてないかな…と思ってしまいました。
さて、今日も楽しく、家族信託・民事信託の勉強をしましょう。
受託者が信託事務に必要な費用を受益者に請求できるかどうかについて考えます。
受託者は、信託事務を行う中で、様々な費用を支出することになりますね。
例えば、信託財産に属する建物を修理したり、固定資産税を支払ったり、トラブルが起きて弁護士又は認定司法書士に交渉を依頼したり、などということが考えられます。
これらの費用は、受託者が信託財産の中から支払えばよいのです。
信託財産に十分なお金がない場合などを考えますと、受託者は無限責任を負いますから、自らの固有財産から支出せざるを得なくなります。
このような時、受託者は、受益者に対して費用の請求をすることは、できるのでしょうか?受託者は、受益者の利益のために働いているわけですから、費用の請求は受益者に対してできてもいいような気がしますね。
でも、これは、原則として不可能です。
だって、考えてみてください。契約による信託は、委託者と受託者の合意によって開始するものであり、受益者の意思表示は全く不要でした。遺言信託でも自己信託でも、受益者の関与なしに信託が開始します。
そうすると、受益者は、知らない間に受益者にされてしまっている可能性もあるわけで、費用の支払という負担を背負い込むことを、強制することはできないわけです。
もちろん、受託者と受益者が合意することで、費用は受益者が負担する、と定めることはできますよ。受益者に費用を請求したければ、きちんと受益者に納得してもらわないといけないのです。
例えば、委託者兼受益者の信託契約書では、受益者自身も契約の当事者になりますから、信託契約書の条項の一つとして、「受託者は費用を受益者に請求できる」と定めることはできると思います。
ただ、これはあくまで受益者自身も契約の当事者となっていることからできることで、原則としては不可能なのです。
例えば、受益者連続型の信託において、当初受益者が、「受託者は費用を受益者に請求できる」という合意を結んだところで、第二受益者や第三受益者が、そのような合意に拘束されることはありません。
第二受益者や第三受益者は、自らが関与しないでなされた合意に拘束されて負担を背負い込む理由がないからです。
もしも受託者が第二受益者や第三受益者に費用を請求したければ、改めて、第二受益者や第三受益者との間で、「受託者は費用を受益者に請求できる」という合意を結び直さなければなりません。
というわけで、信託財産に余裕をもった金銭を入れておくことは大事ですね。
当事務所では、一般の方の相談のみならず、専門家からの有償相談や共同受任、契約書のチェック、講演依頼などもお受けしております。
それでは今日は、この辺で。
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