2019年12月10日火曜日

公正証書による信託契約の意義 その2


本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。

本日は「民事信託において信託契約書を公正証書にすることの意義」の2回目です。


前回は、「信託の設定方法」と「信託契約の成立要件」について整理しました。

前回の記事はこちらです。

http://www.tsubasa-trust.net/2019/11/blog-post_26.html

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民事信託の相談をうけていると、相談者から「民事信託の契約書」は公正証書で作成しないといけないのでしょうか?という質問をされることがよくあります。

もちろん、信託契約書を公正証書により作成することは信託契約の成立要件ではありません。

信託契約書を公正証書で作成しなくても、信託契約の成立要件さえ満たしていれば有効に成立します。

では、信託契約書を公正証書で作成すると、どのようなメリットがあるのでしょう?



いくつかあげてみると・・・。


信託契約書を公正証書で作成した場合、公正証書で作成してない場合と比べて、

1.高い証明力がある。

2.改ざん、紛失等のリスクがない。

3.信託契約書を特定するのに優れている。

4.信託取引をする第三者に信頼感や安心感をあたえることができる。

5.紛争が起きた際の事実認定の基礎となる

というところでしょうか・・・。



各メリットについて、少し掘り下げて考えてみたいと思います。

(メリット1) 高い証明力がある。

公正証書は、法律の専門家である公証人が作成する公文書。

公証人は、委託者と受託者の面前で、本人の確認と判断能力及び信託契約をする意思を確認して公正証書を作成します。

ですので、より慎重な本人確認と判断能力、意思確認をすることができます。

また、公証人は信託契約の内容が法的に問題がないか、依頼人の意思に反してないかについても精査、検討して公正証書を作成します。

したがって、公証人が関与することで、私署証書よりも、より依頼人の意思に沿ったものであるとの高い証明力を備えることができ、将来において契約の成立の有効性が争われる事態を予防して、法定的安定性を確保することができると考えられています。



(メリット2)改ざん、紛失等のリスクがない。

公正証書原本は公証役場で原則20年以上保管されるので、仮に手元の契約書(正本又は謄本)を紛失したり、破棄してしまっても、公証役場で再発行してもらうことができます。

また、原本が公証役場で保管されているので、改ざん等の心配がありません。



今日はこの辺で。次回、メリット3から続きます。
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